リリカは答えを出せないまま、毎日、マリカの病院に面会に来ていた。
そんなある日、リリカは声を掛けられた。
「すいません、カフェの方ですよね?」
「はい?あなたは?」
「突然、すいません、以前、カフェを利用していた木川 達也と申します。カフェが暫く、お休みしていたのでどうなさったのかと思っていました。」
「はい。実は・・・。」
いつの間にか、リリカはこれまでの事を木川に話していた。
「そんな事が・・・さぞかし、心細かったでしょう。」
「こんなこと親にも話せないし、ましてや他の人に話すとは思いませんでした。」
「いや、僕は話を聞く事しか出来ませんから・・・。」
「いえ、話を聞いて貰っただけでも心が軽くなりました。ありがとうございます。」
「これからも僕でよかったら、お話を聞きますよ。」
数ヵ月後、木川がリリカの店を手伝う事になるとはこの時は思っていなかった。
木川とリリカのデートとも言えない会話がその後も続いた。
マリカの退院の時、木川は来ていた。
移動の車の運転を買って出たのだった。
「お荷物、後ろに全部詰めました。」
「ありがとうございます。」
「ありがとうございます。しか言えないわ。」
「いいえ、こんなことしか出来なくて。」
「うちは男手が無いから、助かります。」
「実はお姉さんにお話があります。」
「はい?」
「大事なことなので、家に付いて落ち着いたらお話をしたいと思います。」
「分かりました。」
この時マリカは何となく木川が何を言うかが分かっていた。
それがリリカの事だとは想像がついたが、木川はそれ以上の事を考えていた。