「チェリーパイは季節限定じゃないの?」
「セレナ、チェリーパイのチェリーは缶詰だってば。」
「そうなの?」
「そうだよ。」
この町田 セレナは高校時代からの腐れ縁で、今まで、付き合って来た悪友である。
「それで、彼氏には言ったの?私は中学の時、とんでもない不良でしたと。」
「言える訳ないじゃん。彼、先生だよ。」
「そうだよね。昔、『夕日の走り屋』とは言えないもんね。」
「やめて欲しい、黒歴史。」
「昔、走り屋、今、地味OLか?」
「だから、やめてってば。」
「ごめん、ごめん。」
そうした二人の密約があっけなく暴露されたのは翌週の事だった。
偶然、二人で歩いていた時に渡邊先生とばったり会ったのだ。
「神田先生!と優日じゃないか?二人とも知り合いだったのか?」
「知り合いと言うか、今、彼女と付き合っていまして・・・。」
神田が言いずらそうにしていると
「いやー、真面目な神田先生があの優日と・・・。」
「渡邊先生・・・。」
「渡邊先生、それはどういう意味ですか?」
「いやー、優日から聞いていないのか?」
「渡邊先生、それはもう昔のことですし。」
「そうだな、かれこれ、10年になるか?」
「まあ、そうですね。」
「気になるなぁ。二人してそう、懐かしがられると・・・。」
「まあ、優日から聞いてくれ。じゃあ、二人とも仲良くな。」
優日の秘密が明かされる日がやって来た。