雨の日にはチェリーパイ 3

「チェリーパイは季節限定じゃないの?」

「セレナ、チェリーパイのチェリーは缶詰だってば。」

「そうなの?」

「そうだよ。」

この町田 セレナは高校時代からの腐れ縁で、今まで、付き合って来た悪友である。

「それで、彼氏には言ったの?私は中学の時、とんでもない不良でしたと。」

「言える訳ないじゃん。彼、先生だよ。」

「そうだよね。昔、『夕日の走り屋』とは言えないもんね。」

「やめて欲しい、黒歴史。」

「昔、走り屋、今、地味OLか?」

「だから、やめてってば。」

「ごめん、ごめん。」

そうした二人の密約があっけなく暴露されたのは翌週の事だった。

偶然、二人で歩いていた時に渡邊先生とばったり会ったのだ。

「神田先生!と優日じゃないか?二人とも知り合いだったのか?」

「知り合いと言うか、今、彼女と付き合っていまして・・・。」

神田が言いずらそうにしていると

「いやー、真面目な神田先生があの優日と・・・。」

「渡邊先生・・・。」

「渡邊先生、それはどういう意味ですか?」

「いやー、優日から聞いていないのか?」

「渡邊先生、それはもう昔のことですし。」

「そうだな、かれこれ、10年になるか?」

「まあ、そうですね。」

「気になるなぁ。二人してそう、懐かしがられると・・・。」

「まあ、優日から聞いてくれ。じゃあ、二人とも仲良くな。」

優日の秘密が明かされる日がやって来た。

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なないろびと

水彩画中心に絵を描いています。 先ずはやってみることが、私流です。 日々感謝の毎日です。 少しでも、みなさんに幸せを届けられますように・・・。

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