〈鳥になりたかった猫〉
一匹の猫がいました。
名前を「ムーン」と言います。
お尻に月の模様があったからでした。
ムーンは鳥になって月まで飛んでいきたかったのです。
ある日、鳥さんにムーンは言いました。
「鳥さん、鳥さん、ボクは鳥になって空を飛んで、月を近くで見たいんだ。」
「猫くん、キミは鳥になりたいのではなくて、羽だけほしいのだろう?だって、鳥は夜になると目が見えなくなるからね。」
そうすると、ムーンは言いました。
「そうだね、ボクは鳥さんの翼が欲しいだけかもしれない。」
鳥さんは翼を欲しがるムーンに
「猫くん、無いものを欲しがるより、今、有るものを大切にしてね。」
と言うのでした。