「愛してる」って言わないで 2 ― 実家編 ―

「俺キミのこと愛していないよ。」

それは突然だった。

「愛していないって?どういうこと?じゃあ、何で今まで私と一緒にいたの?」

「楽だからに決まっているだろう。」

「えっ?それホント?本気で言っているの?」

「ウソつくかよこんなこと。」

「こんなことって・・・じゃあ、私と別れるのね?」

「そうだよ。バイバイ。」

「最低!そんな人だとは思わなかった。」

  拓斗は蓮花に、そう言ってしまったことに後悔をしていました。

 「もっといい言い方をできなかったかぁ。」

 拓斗の実家は渓流下りで観光地ではありましたが、住所に大字小字が付くほど田舎にあります。

その実家に 帰らなければいけなくなったのは蓮花に別れを言う1週間前のことでした。

「拓斗、実家に戻って後を継いでくれない?」

「えっ?真斗はどうしたの?」

実家は弟の真斗が継ぐはずでした。

「それが一人娘と結婚して、向こうの婿の入ってしまったのよ。」

「知らなかった。」

「反対されると思って、全てが済んでからの報告だったのよ。しかも出来ちゃっていました。」

「えっ?赤ちゃんも?」

「そうなのよ。これじゃあ、反対も出来ないわ。」

父親の職業は伝統工芸士でした。

誰かが後を継がなければ、その伝統工芸は消えてしまいます。

町としても大損害となることは明らかでした。

しかし、弟のお相手の親御さんも町の権力者で、町としても反対できない状態でした。

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なないろびと

水彩画中心に絵を描いています。 先ずはやってみることが、私流です。 日々感謝の毎日です。 少しでも、みなさんに幸せを届けられますように・・・。

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