#9 カンタ君逃亡劇

前回の話

#9 「気づかなかったキモチ」

カンちゃん…その人誰…?

紹介するよ、俺の親友の金剛雨翔貴…
これから俺たちと一緒にいてくれるって!!

その人…信用できるの?

このブレスレット開発したのも、この施設作ったのもショウだよ?俺はショウのこと信じてる

・・・

俺は簡潔にまとめてショウのことを未梨愛に説明した。
でも未梨愛からは無反応だ…知り合ったばかりだし、信用できるかって言われたら考え込むよな。
俺が未梨愛と 知り合った時と同じ反応と思えば頷ける…。

ま、まぁ…折角知り合ったんだし握手でもしたらどう?

そうだな。

カンちゃんが言うなら…

握手際に2人が何か話し込んでいたような気がするけど…俺には声は届かなかった。その言葉を聞いて未梨愛は、すぐ握手をやめて飛び跳ねて距離をとった。
それに比べてショウは黒い笑顔でニタニタと微笑んでいた

カンちゃん、やっぱりこいつ信用できない…
今まで通り2人で動きましょう?

俺も同感だ。この女と行動を共にしても、なんのメリットもない…ただの殺人犯だろ?

それが私の性分よ…カンちゃんを守るためなら、どんなことだってする。殺人鬼にでもなる。

結局、お前のその行動がカンタを困らせてる事には間違いないよな?

そっ、それは…
じゃあ、どうしろっていうのよ?!

無闇に人を殺すなって言ってんだよ。そんなこともわからないのか?お前ホントに中学生?もうちょっと頭使えって言ってんだよ…

いますぐ、カンちゃんが見ているこの場で
アンタを殺してあげましょうか?

そんなことしたら、益々カンタに嫌われるぞ?
お前は他人にどう思われてもいい反面、カンタに嫌われたらこの世の終わりなんだよな。俺を殺して、カンタに一生嫌われて孤立する道を選ぶなら止めないけど?

あ、あれぇ…思ってた以上に2人の仲が悪化している。おおよそ、こうなることはわかってたけどここまで酷いとは予想もつかなかった…。
目の前で親友と幼馴染が殺し合いを始めるなんて、そんなことは…この俺が許さない!!早く、止めなきゃ…!

ふ、二人とも…やめてよ!!

カンタ!!

カンちゃん…

今にでも殺し合いが始まりそうだった2人が主人公の静止で2動きが止まった。同時に同じ言葉を放つ2人…

カンタが言うなら…

カンちゃんが言うなら…

争いはやめて!ここの整備厳重だし、それにこんなにキレイに掃除されてるのに、血塗れにしたくないんだ…

カンタは余程、ココが気に入ったみたいだな…なんなら俺と棲むか?

え・・・?

冗談だって…からかい甲斐があっておもしろいなー…

もー!脅かすなよ!

何かしら?このキモチ…嫉妬とか妬みじゃない…
この、ポツンと私のキモチが置いてかれたような疎外感、孤独感。もしかして…これが孤独っていうものかしら?カンちゃんが楽しそうだからいいんだけど…私はあの輪の中には入れない…

カンタはちゃんとプロテクター嵌めてる?

うん…ある程度の説明は受けたけど今は何か意味あるの?コレ…

どこでもいいから、プロテクターを触ってみて…

うん…あれ、変だな、とれない…

ホントにとれない…なによコレ…

本人確認が終わっている証拠だよ。本人確認が終わると自分では何をしてもプロテクターはとれないことになっている。

へぇ…そうなんだ…でも、取らないほうがいいんだろ?

まぁね、特に味方がいる場合は、取らない方が居場所が分かるから…

あの、本人確認のアラームはそういう意味だったのか…俺を含めたココにいる3人は全員プロテクターをつけているし、離れていても音や光で居場所のヒントや行動範囲が分かるんだもんな…このプロテクター、結構役に立つかも…

なによ………コレ、外せないじゃない!
アンタ何してくれんのよ!!

外すことはできるけど、そのためには第三者に破壊してもらわないと取れないよ?

なぁ、ショウ…このプロテクターって予備とかないんだよな?

いま準備中だけど、俺しか持ち合わせていないよ。そのためにもカンタは俺と行動したほうがいいと思うんだけどなー?

何かあってもショウがいてくれれば俺も安心だし…俺はそれでいいよ!

なんで、そんな奴のことを気軽に信頼しちゃうのよ!
カンちゃんには私がいればいいじゃない!

仲間は少しでも多いほうがいいだろ?それとも未梨愛はおれの親友のことが信じられないの?

そ、そうじゃない…けど…

言葉をつまらせる未梨愛はそれ以上、何も言うことはなかった…するとショウが未梨愛に話しかける…その言葉はとても冷たく視線は凍てついた氷のようだった…

設楽…だっけ?キミはおれのことを信用しなくてもいいけどカンタが言うことも信用できないの?それで、いままでカンタを困らせておいて楽しい?

・・・

俺ダメなんだよね…自己中心的な女ってさ…結局、相手のことが1番って考え方してるけど蓋を開けてみれば自分のことしか考えていない…矛盾してるとは思わない?

私…私は…

はぁ…いいよ、キミに時間をあげる。俺とカンタは3日後にココを出る…それまでに一緒についてくるか、カンタとは別な道を歩むのか考えて…決まったらこの場所に集合。

俺はショウが未梨愛に下した決断にすごく焦りを感じた。そんなこと言ったら未梨愛は一人でどこかに消えてしまいそうで…

わかったわ…それまでには決めるわ…

未梨愛は自分の唇を噛んだあと、広場を立ち去った…

ショウ…あのさ…

ショウがなんで、そこまで異性に厳しいのか聞こうか迷って口を開いたら三加和さんがそっと現れて俺にだけ聞こえるように小声で言った。

あの子が女の子をけぎらうようになったのは私のせいなのヨ…

第10話へ続く

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水樹

最初に絵を描き始めたのは小学生の頃でした。 それから、自分の世界観を文字におこしたり、絵にするのが趣味になっています!!

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