Cross Over Is Like #04
2022年8月 好きなクロスオーバー作品をご紹介 愛及屋烏
零・碧の軌跡 & 閃の軌跡Ⅰ・Ⅱ
Continuation from last page. 04-4
閃の軌跡Ⅰ あらすじ
──《エレボニア帝国》。
ゼムリア大陸西部において最大規模を誇るこの旧き大国では
近年、2つの勢力が台頭し、国内における緊張が高まりつつあった。
一つは《貴族派》──
「四大名門」と呼ばれる大貴族を中心とし、その莫大な財力によって
地方軍を維持し、自分たちの既得権益を守らんとする伝統的な保守勢力。
もう一つは《革新派》──
平民出身の「鉄血宰相」を中心とし、巨大な帝都や併合した属州からの
税収によって軍拡を推し進め、大貴族の既得権益を奪わんとする新興勢力。
両者の立場はどこまでも相容れず、その対立は水面下で深刻化し、
皇帝の仲裁も空しく、帝国各地で暗闘が繰り広げられるようになっていた──。
そして、それは帝都近郊にある伝統的な士官学校でも同じだった。
──《トールズ士官学院》。
帝国中興の祖「ドライケルス大帝」によって創設され、
身分に囚われない人材育成を目指してきたこの士官学校においても、
貴族派の理事と革新派の理事が対立を深め、生徒たちに影響を与えていた。
あらゆる面で優遇され、また実力も兼ね備えた白い制服の貴族生徒たち。
優秀ながらも下に見られ、理不尽感を抱き続ける緑の制服の平民生徒たち。
制服の色や学生寮が違うことも相まって、両者は事あるごとに反発しあい、
学業成績や武術訓練、クラブ活動などでも火花を散らし合うのだった。
「自分の“道”を見つける。──まずはそれからだ」
そんな中、地方貴族の息子、リィン・シュバルツァーは
トールズ士官学院への入学を果たし、帝都近郊の街トリスタを訪れる。
季節は春──白いライノの花が舞い散る中、リィンは気付く。
自分の着た制服が、貴族生徒や平民生徒の制服の色と違うことを。
少数ではあるが、同じ「深紅の制服」を着た生徒たちがいることを。
そして学院の鐘が鳴り、始まる入学式──
「若者よ、世の礎たれ」
獅子心皇帝たる、ドライケルス大帝の言葉。
偉丈夫の学院長の堂々たる挨拶が終わり、若き女性教官が壇上に立つ。
「赤い制服の子たちは集まりなさい」
「これから特別オリエンテーリングを始めるわ」
それが──波乱に満ちたリィンたち《Ⅶ組》の学院生活の幕開けだった。
概要
帝国を主導しつつある改革派と貴族派の対立。
鉄血宰相の強引な併合・軍拡手法によって、各地に燻る復讐の火種。 それらを背景にした、帝国の歪みとそれに抗う第三の風を目指す、放蕩王子。
リベールでの旅が、仲間との出会いが彼に一つの決断をさせた。現トールズ士官学院の理事長オリヴァルト・ライゼ・アルノールとして、身分差を問わない貴族平民が混ざった特科クラス《Ⅶ組》を設立。
様々な立場の生徒が集ったⅦ組、その担任教官のサラ・バレスタインはリィンに告げた「貴方は《Ⅶ組》の重心よ」と。中心ではなく重心、その意味は何か。
男爵家の長男でありながらも出自不明の養子である彼は貴族とも平民であるとも言える。だが、リィンは自分が男爵家を継ぐべきではないと考えていた。
家を出て、士官学院へ進学したのも、その所為だった。幼少期、義妹を魔獣から救うべく、発露した『鬼の力』。 余りにも暴力的な異能を宿していたリィンは矛を止める枷として武を求めた。
東方剣術・八葉一刀流。 だが、リィンは師からその修行を打ち切られていた。
学生としても、剣士としても、貴族としても、迷いの尽きないリィン。
奔走するリィンの学園ジュブナイル物でありながら、エレボニア帝国に蔓延する内戦の気配と鉄血宰相を狙う、帝国解放戦線によるテロを描いた、ストーリーRPGの新シリーズ第一弾。
設定がガチな軌跡シリーズの武術・八葉一刀流
――激動の時代において 刹那であっても闇を照らす一刀たれ
シリーズで見ると様々な武術の流派が登場するが、特に重要なのが八葉一刀流である。
東方出身の剣士である《剣仙》ユン・カーファイによって創始された東方剣術の集大成とも言うべき流派。ゼムリア大陸西部ではあまり馴染みがない刀や太刀を使用する剣術で、同じ八葉一刀流でも一の型から七の型までさらに細かく分かれている。
ぶっちゃけ、和風とんでも剣術。修めてる登場人物はだいたいべらぼうに強い。
どの人物も八葉では最初の段階で、全ての型の基礎を叩き込まれる事が習わしであり、ユン老師自らその人物の象徴となる何れかの型を授けられる。 また、何れかの型が奥伝に至った者は『剣聖』と称される。
一の型《螺旋》 自身の回転を利用し、強烈な一撃を打ち込む、パワー、破壊力重視の技。
二の型《疾風》 神速で移動して斬り刻む機動力を主体とした型で、集団戦に秀でる。
三の型 《業炎》 業炎を伴う渾身の袈裟斬りを両腕で行う、腕力を重視した型。
四の型 《紅葉》 抜刀してすれ違いざまに相手を斬りつける剣速重視の型。
伍の型 《残月》 居合の構えから抜刀する防御、カウンター主体の型。
六の型 《緋空》 燃え盛る斬撃を遠くにいる相手に一直線にして放つ、遠距離重視の型。
七の型 《無》 剣に業火を纏い一瞬の居合いで無数の斬撃を浴びせる型。 「無明の闇に刹那の閃きをもたらす剣」。会得(奧伝)は最難関。
八の型 《無手》 剣喪失時もしくは未使用時に扱う、体術主体の型。
初伝・中伝と経て、奥義伝承を終える事により免許皆伝、といった具合にレベルが分かれる。
基礎を学ぶ段階で重要なことは一通り盛り込まれているらしく、作中では「老師の下を離れた時点で“奥伝”に至る道筋は出来ている」と語られている。とはいえあくまで道筋ができているだけであり、当然ながら初伝を授かった時点で奥伝に相応しい実力であるというわけではない。
リィンが閃の開始時に修行が打ち切られたのも、流派を破門された訳ではなく、ユン老師の直接的な修行下にいる必要がない、という事。 自己研鑽と実戦経験、剣士自身の内面の成長、ある種のブレイクスルーが必要、という事のようだ。
閃の軌跡シリーズでは、これまで関係者や仲間に使い手がいるに留まっていた、この八葉一刀流の剣士『リィン・シュバルツァー』が初めて主人公(メインプレイアブル)として使用可能になった。
空の軌跡では主人公・エステルの父「カシウス」が一の型の元剣聖。 (妻を亡くし、遊撃士になった際、非殺傷かつ、守りに強い棍に持ち替えた) エステル達の先輩遊撃士のアネラスは剣仙ユンの孫娘。 王国クーデターを図った情報部のリシャール大佐がカシウス経由で伍の型をアレンジして使う。 零・碧の軌跡では遊撃士アリオスが二の型の皆伝で『風の剣聖』と周知されていた。
最初に全ての型を叩き込まれるとは言え、やはり実際に使用する型や技には個々人の適正やら好みがある模様。
流派自体の情報も過去作では断片的に出てくる程度で本格的に全貌が明らかになったのはリィンが主人公になった閃シリーズになってからだった。
またユン・カーファイの風貌が明らかになったのも閃シリーズになってからである。性格や動向が第三者から語られる事はあった。
リィンは、ユン老師に「《八葉》を真の意味で完成させる一刀」「最後の弟子」として見定められ、極みへの道程が最も険しい七の型を伝授された。 その潜在能力は他の兄弟子に比べても高いらしい。 だが閃Ⅰ時点では精神的な迷いや『鬼の力』への忌避感から実力を発揮しきれずに初伝を授かるに留まっていた。Ⅶ組での経験と成長を経て、閃Ⅰの幕間で帰省した際、師より中伝を名乗る許可を出された。 閃Ⅱ中盤にて『鬼の力』の一部制御に成功し、それを活かした絶招『神気合一』を会得、改めて『八葉一刀流・中伝』を自ら名乗った。
トールズ本校を卒業し、分校に新米教官として赴任した閃Ⅲの開始時点で、奧伝に近い実力まで伸びてきており、劇中では〈観の目〉と呼ばれる、あらゆる先入観を排し、あるがままを見て本質を捉えるという思考法、あるいは境地に至っている姿を見せた。気配察知などもこの能力の一部である。
閃Ⅳ終盤の世界大戦の開戦前夜、ユン老師から依頼を受けた兄弟子カシウスからの奥義伝承の試しを乗り越え、七の型の奥伝に至り剣聖の称号を授かった。
続編の創の軌跡の後日談にて家族と共和国の温泉郷を訪れた際、《八葉》と何かしらの関係がある《黒神一刀流》の使い手たる剣士、《朧月流》の使い手であるクロガネと名乗る者(明らかに忍者)と遭遇。
彼らは斑鳩という猟兵集団であり、リィンは契約先から渡されたリストに要注意人物として載っているらしい。
さらに《剣聖》の域の達人の「姫」と呼ばれる人物にゼムリアストーン製(シリーズ通しての特殊鉱石・最強装備)の太刀を折られ、その上「弟弟子」と呼ばれるなど謎が残ったが「いつか訪れる危機に備え、未熟な己を今まで以上に鍛える必要がある」と語っており、メタ的に見るとしばらく出番は無さそうだがいずれ再登場しそうでもある。
この時の邂逅で『神気合一』を見せた事で『姫』ことシズナ・レム・ミスルギに技を模倣され、黎の軌跡にてプレイヤーは大いに困る羽目になる。
また黎の軌跡のイベントで、シズナが鞘の補修で折ったリィンの獲物の刃先を使用している。刀の力を抑える為に強敵の武具の欠片を使っている、との事。
to be next page. 04-6