「東京本社より、本日付けで転勤してきた京本です。出張で来た際はお世話になりました。今度は仙台に骨を埋めるつもりで転勤してきました。よろしくお願いいたします。」
京本は翌年の4月に転勤して来たのでした。
これで、二人はめでたしと言いたいところですが、紗季は会社を辞めていました。
「紗季さんは仕事を辞めたの?」
「お前が東京に帰った後、お母さんが倒れて、シングルだったし、一人っ子だったから紗季さんがお母さんの面倒を見ることになったんだ。」
「そんなことが。LINE既読付かないからどうしたのかなぁと思っていたんだ。」
「家を教えたいところなんだが、彼女、引越しもしていてさ、住所が分からないのだよ。」
「ありがとう。なんとなく心当たりがある。」
そういうと京本は仕事の帰りにあのショーウインドウの前に立っていた。
「光輝さん、なぜここにいるの?」
そう言ったのは紗季でした。
「転勤してきた。」
「えっ!」
「ずっと、紗季さんと一緒にいようと思って・・・。」
「それって?」
「紗季さん僕と結婚してください。」
「えっ?本気なの?」
「本気です。僕の両親は早くに亡くなっているので、紗季さんのお母さんの面倒も看られます。」
紗季に拒否することは無理でした。
「よろしくお願いします。」
ようやく実った恋でした。