#10 カンタ君逃亡劇

前回の話

#10 「母親」

あら、お帰り……パパまだ帰ってこないから、先にご飯食べちゃおっか………

うん………

最初は良き母親だったのヨ?
ワタシともショウちゃんとも上手くいっていた……と思う……
でも、絶対にあの人はショウちゃんのことを褒めなかったの………
IQも高いし、小さいながら他人の感情とか空気を読むチカラが強かった…
成績も毎回満点だったし、ニコッって微笑むだけで褒めはしなかった。
それでも家族として上手くいっていたと思うほうだけど………
あれは、ショウちゃんが小学5年のとき、だったかしら…?
急に、ワタシとショウちゃんに対する態度が変わって、毎日イライラしていて、ヒステリックを発動し八つ当たりのように暴言を吐かれたわ………
このままでは、子供にも手をあげると思って、ワタシのほうから離婚を言い出したの。多分、あの人との思い出が“女嫌い”になった理由ね………

そんなことが…

あとで気づいたことだけど、あの人…別な人の子供を身ごもっていたようなの………

………俺は、母親の記憶が殆どありません………
小さいときの記憶って言っても一緒に遊んだ記憶とか思い出そうとすると発作おきるし………だから、母親がいる人はいままで羨ましいって思ってた………でもショウは、母親がいても過酷な体験をしてきた。
そんなことがあれば、人を見る眼は変わるかもしれない………

俺の母親は………どんな人だったんだろう?
誰かに、”お前の母さんはお前を最後まで愛していたよ“って言われたのは覚えてるけど、その”誰か”もわからない………

いいわ、ムリに思い出さなくて……
ショウちゃんほどあなたのこと知っているわけではないけど
持病のことは聞いてるから………
ごめんなさいね、こんな話してしまって………

いえ………ショウにとって、女の人は地雷なんですね……

そうね……
中学生以上の女性を見ると拒否反応が起きるわ………
それか、さっきみたいな毒舌を吐きまくるかのどっちかね………女性恐怖症ではないけど、ちょっと近いかも

直接本人から聞いたわけじゃないけど、
これからショウと協力してこのゲームを勝ち抜くにしては知っておいて良かった情報かもしれない。
これで、俺もショウのことをサポートできるし………いつも助けてもらってばかりじゃ性に合わないし……ちょうどいいかもしれない。
人は皆、自分の得意なことや長所を見せたがったり自慢してくるけれど自分の地雷や苦手なことはあまり、見せたがらない。
自分にとって、有利なことにしか突き進まないからだ………“この人に良く思われたい”“僕はコレができるからキミがデキナイことを補えるよ、助けることができるよ”それが、一方的で目障りな自己アピールか………
他人のために動こうとする協力タイプなのかは関わってみないとわからない。
………さっきの話は、俺にとって有力情報だ。
そして、まだ思い出せないけど………母親の記憶になる手掛かりを見つけた……気がする………

くそっ!!なんで、見つからない!!これではゲームの面白味がない!!

ライザック様~まぁまぁ………そんなお怒りにならないでぇw

ネアデフよ………なにをそんなに笑っている?

ターゲットの姫路幹汰がいなければ、さすがのライザック様も人が変わるんですねw

お前はワタシをバカにしているのか?

そのようなことは断じてありませんwwwwwww

ライザックの配下……ネアデフは、中世的な顔立ちで声は男性が出す女声寄り
他にも配下はいるが、ネアデフはお気に入りの配下で仕事を全うするかわり性格が歪んでいる。ライザックもたまに、何を考えているかわからない時がある。

あ、そうそう………ゴールドレインから連絡がありましたよ?ターゲットの近くにいるようです。

そうか……お前より優秀だな。

えぇーーー、ライザック様ひっど~~い。

さっさと働け…ターゲットが見つかったら第二段階に進む。

承知しましたぁ~!!

いましばらく様子を見よう………ゲームは始まったばかりだからな………
しかし、こうもうまく隠れられると手の出しようがない。
何か仕掛けるか………

ライザックは、人ごみの中に幹汰がいないか、スキルで見ていたが見つからなかった。
自分の机を漁って……大きな箱を取り出した。
その箱の真ん中には大きく『死』と書かれてあり

よし、これで準備はできた…

映像配信の準備をしカメラを向けた………

第11話へ続く

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水樹

最初に絵を描き始めたのは小学生の頃でした。 それから、自分の世界観を文字におこしたり、絵にするのが趣味になっています!!

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