Cross Over Is Like #06
2022年8月 好きなクロスオーバー作品をご紹介 愛及屋烏
十津川警部 vs 鉄道捜査官・花村乃里子
名探偵キャサリン vs 十津川警部
DS山村美紗サスペンス 舞妓小菊・記者キャサリン・葬儀屋石原明子 古都に舞う花三輪 京都殺人事件ファイル
前述
①商業的テコ入れ
各ストーリーのキャラクターの共演によって、話題を呼び、不人気なシリーズに人気キャラクターを登場させて売上げを増やす、多くの巻数を必要とする複雑で雄大なストーリーを短い期間で展開できる、マンネリ防止等のメリットがある。
②オールスター物
巻数が最初から決定された新しいタイトルを作って、そこに既成のシリーズキャラクターを多数投入する「オールスター物」、あるシリーズに他のシリーズのキャラクターが登場するが、ストーリーの受け渡しがないカメオ出演や特別出演も、しばしばクロスオーバーと呼ばれる。
③世界観内共演
異なる主人公の物語同士が、同一世界、同一時間軸にあることを、作中で匂わされたり、また明示された場合、これもクロスオーバーと呼ぶことがある。
十津川vs花村の場合、西村京太郎の作品間のクロスオーバーだが、名探偵キャサリンは、山村美紗作品なので、コラボ色が強いクロスオーバーとなる。
自叙
今回は小説としての西村京太郎の十津川シリーズではなく、主にテレビドラマとしてのクロスオーバー作品について話したい。山村美紗作品については設定周りやゲームにも触れる。
西村京太郎&山村美紗
以前、海外ドラマ『キャッスル』を紹介した時にチラリと触れた話だが、改めて掘り下げたい。
元々、山村美紗さんの前職は中学校の国語教師でした。
1957年に数学教師の巍さんと結婚して教職を辞しますが、小説を創作するのはまだ先のこと。
デビュー前の妻を献身的に支え、2人の娘の父親となり、妻が人気作家になったあとも陰の存在に徹して、ひたすらサポートを続けたのが巍さんでした。
一方、西村京太郎と山村美紗には、家族ぐるみの交流があった。
新進の推理作家だった西村に無名だった山村がファンレターを送った事で交流が始まり、山村がハガキに「夏休みを利用して、北海道を一人でドライブします」と書いた所、西村が女子大生だと勘違いし、山村の住む京都まで自ら会いに出向いた事が発端で2人の交友が始まった。彼女の美貌と才能に惚れ込んだのだ。
西村が京都に住んでいた頃、山村と共同で大きな旅館であった建物を買い取り、両宅が鍵つきの渡り廊下で繋がっていた。この「ただならぬ間柄」は出版界では誰もが知る事実にしてアンタッチャブルな領域であり、所謂文壇タブーのひとつでした。
西村は山村と自身との関係をモデルに私小説『女流作家』『華の棺』を発表しており、「山村美紗さんに本書を捧げる」と帯に記載された。
山村美紗自身を主役にしたドラマ作品でも二人の関係は描かれる。
山村の急逝後、未完だった『在原業平殺人事件』と『龍野武者行列殺人事件』の2作品は西村が脱稿を引き受けている。
また、山村の長女で女優の山村紅葉は母の作品に限らず「十津川警部シリーズ」など西村原作のドラマにも多く出演している。一部では西村さんが父親ではないかとささやかれたようですが、これは事実ではない。
山村美紗さんは「西村さんは親友よ」と表向きはとぼけつつも二人の親密な関係を匂わせ、一方で夫の存在を表から隠していたことになります。
娘の紅葉にはダメ出しばかりで誉めることはなかったという美沙ですが、自作品の映像化の条件に紅葉の出演を提示したという親バカエピソードはつとに有名。その晩年、「あの子は私のコネでドラマに出ているから、作品がなくなると困るでしょ」と言い、病弱な身体に鞭打って執筆に励んでいたそうな。
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