夏の日の淡い香り その8

僕はベランダに行きお気に入りのジッポでセブンスターに火を点けた。

今日は何処に行こうか予め色々と考えていたが、どれがいいのかまだ分からないでいた。

そうだ。まだ待ち合わせ場所と時間を決めていなかった。

すぐに連絡しないと。

「おはよう架瑠ちゃん。今日何処で何時に待ち合わせにする?」

すると少し経って返事が返ってきた。

「おはようございます良太さん。9時に駅前待ち合わせでいかがでしょうか?」

僕はこう返した。

「了解。架瑠ちゃん」

それから軽く朝食を済ませ、今の時刻は8時ちょっと前。

昨日購入した新しい洋服を着、髪型もセットした。

手持無沙汰なので僕は煙草を吸いにベランダに出てお気に入りのジッポでセブンスターに火を点けた。

淡く煙が漂う。

そうだ制汗スプレーも持って行かないと。

そもそも女の子とデートをする事自体久しぶりなので、デート当日の段取りに慣れていない。

そうこうしているうちに時間が過ぎたので、少し早いけれど出発することにした。

ここから歩いて駅に到着するまで30分はかかる。

架瑠ちゃんが何時に来るか分からないけれど、ランチを何処で食べるかネットで探しておいた方がいいと思った。

そうこうしているうちに待ち合わせ場所に着いた。

そこで携帯で色々検索している最中。架瑠ちゃんが来た。

「おはようございます。良太さん。」

僕は一瞬驚いた。またエキゾチックな恰好で来るのかと思ったら、胸元に淡いブルーのリボンのついたオフホワイトのワンピースにピンク色のパンプス、薄いグリーンのバッグで現れたからだ。

とてもよく似合っている。

僕は思わずこう言ってしまった

「ワンピースとても良く似合っているよ。この前会った時より僕はこっちの方が好みかな」

「あはは。ありがとうございます。良太さん多分こっちの方がお好みな気がして実は昨日買ったばかりのワンピースなんです」

「今日は私をどこに連れて行ってくれるんですか?」

「ごめん。それがまだノープランなんだ。このままお喋りしながら暫く歩くのはどうかな?ちょっと暑いけれど」

「いいですよ。良太さんもそうだと思うのですが、新しい洋服を買った時は誰かに見せびらかすように外に出るって気持ち良いですもんね」

「そうそう。それ分かる!僕も昨日買った洋服着ててなんだか気分いいもの」

「あはは。似たもの同士ですね」

「良太さんも今日のお洋服とても似合ってますよ」

と、架瑠ちゃんは言ってきた。

正直他者に褒められるのに慣れてないのと架瑠ちゃんに褒められたのもあって顔が少し赤くなった気がした。

「ところで架瑠ちゃんて香水付けてるよね?それ何の香水なの?凄くいい香り」

「ダビドフのクールウォーターって香水ですよ。私も気に入っています。」

僕は架瑠ちゃんと一緒に歩きながら、街中を眺め今日という日を大いに満喫していた。

僕は恋をしているのだろうか。しかも一回り以上離れている女の子と。

そうそう。未だに分からないお兄ちゃん役になってくださいってどういう事なのか未だに聞き出せていない。

恐らくははぐらかされるだろうし敢えて聞かないでいた。

暫く歩いていると、カキ氷屋さんが見えてきた。

「ねぇ。あれ食べない?」

「カキ氷ですか。いいですねぇ。」

「何味が食べたい?買ってくるよ。」

「私何味を食べるか当ててみて買ってきてください。」

「外れたら罰ゲームですよ。」

「えー。意地悪だなー。」

その9へ続く。

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花の母としての気持ち

初めまして。花の母としての気持ちと申します。 好きな人物を模写、デザイン、詞、小説を書くのが好きで麻雀も好きです。 普段手が空いている最中にやっていることではまっている事はリズムを心の中で刻んだり、即興で簡単な歌を作って 鼻歌を歌ったりする事。 苦手な事は、面倒くさい作業をすること。これは今克服しようと努力している最中です。 どうぞよろしくお願いします。

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