その日から1か月が過ぎた。
最近まではお互い本を読んでいる事が多かったが、僕が気分転換に毛筆を始めたら夏樹も真似して毛筆を始めた。
「ねぇ春斗さん。お互い課題の字を決めてどちらが綺麗に書けるか競争しない?」
「夏樹さん本読んでたと思ったら急に毛筆を始めるんだもん。びっくりした」
と、笑って言った。
「いいよ。お題は何にしようか?」
「ちょっと待って。」
「ジャーン!電子辞書!母に持ってきてもらったの!」
「おお!それは便利だね。慣用句とかいっぱい載ってるでしょ?」
「何かお題になりそうな題材ってある?」
「ちょっと待ってね。今探してるところ。」
「これとかどうだろう。”弓を引く”」
「それってどういう意味なの?」
「反抗する。とか、そむく。って意味らしいよ。」
「お互い病気に反抗しようって意味を込めて書かない?」
「なるほど。じゃぁそれにしよう!」
と、弓を引くが課題になった。
さっそく書いてみるが字がシンプル過ぎて中々難しい。
ポイントは弓と引くの”引”のバランスのはずだ。
「どう?書けた?」
と、僕は夏樹に話しかけた。
「う~ん中々うまくいかないなぁ。」
と、夏樹は顔をしかめながら言った。
夏樹と春斗は試行錯誤しながら弓を引くを沢山書いた。
この病魔の進行が少しでも遅くなりますように。
と、願いを込めながら。
その3へ続く。