時の流れを経ても生き続けるかたち その4

「ハロハロー♪山崎君☆元気してた?」

「前回の返信ありがとう。山崎君はサッカー部に入ったんだね!」

「私は部活にはどこにも入らなかったよ。それよりお勉強に専念したくて、道内で一番の進学校に入るのを目標に変えたの。」

「それも誰かに言われたわけでもなく自分の意思で決めたんだよ」

「偉いでしょ^^」

「山崎君はサッカー上手だし、二年生からでも大会に出れるんじゃないかな?」

「勉強の事ならまかせてね。最初の中間テストでとりあえず学年3位は取れたからさ。」

「それではまたお手紙書くね♪ bye♪bye♪」

私は二通目を読み終えた。

そうだサッカーをやっていたのだったな。

二年生の後半に足を大怪我してからサッカーができなくなってしまったのだった。

私が二年生の時、赤信号で直進してきた車と接触し、足の大腿部から膝頭にかけて大怪我を負ってしまった。

跳ねられた際ニット帽を被っていたため、頭部は比較的軽傷で済んだのが救いだった。

それから大好きだったサッカーができなくなり、暫くの間松葉杖をついて歩いたのは覚えている。

その頃からか、精神が不安定になりはじめ、今もその後遺症に悩まされている。

僕は3通目を読むのをやめた。

なんだか遥の事が無性に気になり始め、本当に会いたくなってきたからだ。

会えない覚悟で向かってはいたが、本当に無性に会いたくなってきた。

会った時は何て話そう。文通が途切れてからもう23年も経つ。

美しかった彼女の事だから結婚して子供がいてもおかしくはない。

一つ疑問なのは何故か電話番号を交換しなかった事だ。

遥の親後さんと私は面識があるし、昔住んでいたお宅にお邪魔した事は何回もあったはずなのに。勿論当時は携帯電話は普及していなかったし、家電でのやりとりになってはいただろうが、何故か電話番号を交換しなかった。

だから、私の中に残っている遥の声は微妙にしか再現できない。

私は消印の最後の手紙を開いた。

その5へ続く。

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花の母としての気持ち

初めまして。花の母としての気持ちと申します。 好きな人物を模写、デザイン、詞、小説を書くのが好きで麻雀も好きです。 普段手が空いている最中にやっていることではまっている事はリズムを心の中で刻んだり、即興で簡単な歌を作って 鼻歌を歌ったりする事。 苦手な事は、面倒くさい作業をすること。これは今克服しようと努力している最中です。 どうぞよろしくお願いします。

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