「ハロハロー♪山崎君☆元気してた?」
「前回の返信ありがとう。山崎君はサッカー部に入ったんだね!」
「私は部活にはどこにも入らなかったよ。それよりお勉強に専念したくて、道内で一番の進学校に入るのを目標に変えたの。」
「それも誰かに言われたわけでもなく自分の意思で決めたんだよ」
「偉いでしょ^^」
「山崎君はサッカー上手だし、二年生からでも大会に出れるんじゃないかな?」
「勉強の事ならまかせてね。最初の中間テストでとりあえず学年3位は取れたからさ。」
「それではまたお手紙書くね♪ bye♪bye♪」
私は二通目を読み終えた。
そうだサッカーをやっていたのだったな。
二年生の後半に足を大怪我してからサッカーができなくなってしまったのだった。
私が二年生の時、赤信号で直進してきた車と接触し、足の大腿部から膝頭にかけて大怪我を負ってしまった。
跳ねられた際ニット帽を被っていたため、頭部は比較的軽傷で済んだのが救いだった。
それから大好きだったサッカーができなくなり、暫くの間松葉杖をついて歩いたのは覚えている。
その頃からか、精神が不安定になりはじめ、今もその後遺症に悩まされている。
僕は3通目を読むのをやめた。
なんだか遥の事が無性に気になり始め、本当に会いたくなってきたからだ。
会えない覚悟で向かってはいたが、本当に無性に会いたくなってきた。
会った時は何て話そう。文通が途切れてからもう23年も経つ。
美しかった彼女の事だから結婚して子供がいてもおかしくはない。
一つ疑問なのは何故か電話番号を交換しなかった事だ。
遥の親後さんと私は面識があるし、昔住んでいたお宅にお邪魔した事は何回もあったはずなのに。勿論当時は携帯電話は普及していなかったし、家電でのやりとりになってはいただろうが、何故か電話番号を交換しなかった。
だから、私の中に残っている遥の声は微妙にしか再現できない。
私は消印の最後の手紙を開いた。
その5へ続く。