*始めに、この物語は煙草に関する偏見的描写が含まれています。予めご了承ください。
ふと目が覚めたら夜明けだった。
時刻は午前6時17分。
出勤までまだまだ時間はある。
僕はコーヒーが飲みたく、コーヒーメーカーをセットするためリビングに向かった。
その間に洗顔を済ませ、髭を剃り支度の半分位を整える。
その間にセットしておいたコーヒーが出来上がったので、そっとコーヒーカップに注ぐ。
僕にとってこの時間は一日の中でも好きな時間の一つである。
そしてふと気づいたらあの人のことを考えていた。
「今日はいるだろうか?」
MAILやLINEがきていないか携帯をチェックする。
今朝は特に僕に用事を立てる事はないようだ。
コーヒーを半分程飲み、朝食の準備をする。
僕の朝食のメニューは毎日決まっている。
目玉焼き、ウインナー2本、ハム2枚、シシャモ、トマト、キャベツ、ニンジン、キュウリ、ニンニク、ご飯、味噌汁、納豆、ヨーグルト、モズク酢、果物。
割とバランスの取れたメニューで気に入っている。
朝食を食べながらテレビのニュースを流し見する。
時刻は8時10分。
僕は洋服に着替え出勤の準備をする。
温くなった残り半分のコーヒーを全部飲み干し僕は玄関を開けた。
朝の強い日差しが目を射る。
季節はもうすぐ冬に差し掛かる10月下旬。
寒暖の差が激しいこの時期、着ていく洋服には特に気をつかう。
僕の会社は服装は自由なのでスーツを着て仕事をしている人は少ない。
僕は黒のデニムに白のストライプの入った黒のジャケット、インナーにダークブラウンのロンT、黒のブーツという出で立ちで会社に向かった。
最近僕がウキウキする瞬間がある。
それは駅のお土産屋さんの販売員をしている女性とすれ違う瞬間だ。
彼女の存在に気が付いたのは2か月位前、一度も話したことはないのだが、一目見た瞬間目を離さずにはいられなかった。
20秒位は見ていただろうか。
彼女も僕の存在に気づき、目が合いそうになった瞬間僕は敢えて目をそらしてその場を離れた。
その日以来毎日彼女の姿を見るのが日課になってしまった。
僕が抱いているのは恋心なのか、それとも他の何かなのか僕には分からなかったが、僕には彼女の存在が特別に感じられた。
その2へ続く。