「一応お金は持った?後、もしもの時に鎮痛剤は持ってる?何かあった時には店の人やお巡りさんに頼ってね・・・。」
「あはははは!!あおいってお母さんみたいで優しいな!」
「遠い所へ行ったら僕の手では届かないんだ。僕は君が最悪な状況に陥って欲しくないんだよ。」
とりあえず注意点だけ話した。流石にこの少年がお金を落とすことは・・・ん?お金!?
「そういえばふゆき君ってお金は持ってるの?あるとしたらそのお金はどこで手に入れたの?」
「へえー?俺が本気で泥棒をしたとでも?」
「そんなわけないじゃん!」
「なら聞かないでくれよ。これでも痛みが酷い時の鎮痛剤まで持ってるぐらいなんだぜ。」
僕はむかつく感情を通り越して呆れてしまった。本当に鎮痛剤まで持っているのか・・・?
そうこうしてるうちにふゆき君の姿は見えなくなった。まあ夕方には帰ってくるだろう。
・・・ん?ちょっと待ってよ?もしどこかでふゆき君の家族が見つけてくれたら・・・。もしかしたら病院に連れて行ってもらえるかも。
そしたら僕がふゆき君の面倒を見る役目を安心して果たすことができる。
ふゆき君の病気も治って解決するかもしれない。
でも本当に治る病気なのかな・・・?
治らない病気だったらどうしよう・・・
不安な考えをぐるぐる巡らせすぎてしまったせいか、気が付くと辺りは夕暮れ時になっていた。ふゆき君が道中どこかで倒れてないか心配になってしまい、庭の辺りをウロウロしていた。
そうこうしているうちに誰かがやってきた。
その姿はふゆき君だった。
「ただいまあおい!今帰ってきたぞ!」
不安でオロオロしていた僕は真っ先にふゆき君を抱きしめた。
「なんだよあおい・・・。心配性だなあ。」
「・・・怖かった。もし君が途中で倒れたりしたらとか考え込んでたから凄く不安だった・・・。」
「はは、怖かったって心配してた意味なんだな。・・・大丈夫、どこかで倒れたりしないよ。」
彼の体は風に当たったせいか少し冷たかった。食材を家に運びこんだ彼はご飯を食べてすぐに寝た。
そんな形でまた1か月が過ぎた。