「そうだったんですね……タツキさんと影斗さんは二人で協力しあっているのですね」
いや……間違ってはいないのだが。
僕は、まりあに今までの出来事を軽く説明したらこんな返事が返ってきて驚く。
「最初は僕も焦ったんだ。まさか幽霊の彼に好かれるなんて」
『悪魔のようなヤツじゃなくてよかったな。もっと褒めてもいいぜ?』
そういえば、彼はどうして僕に執着しているのだろうか。
まだ何の未練があるのかも聞いていないし……。
でも成仏できない彼は、僕にとり憑いているしかなかった。
「それよりも。まずはここから脱出しないと」
「えっ……出られないんですか?」
『お前を見つけたことによってここの結界が解けない。それも見えない力でな……』
「まさか、影斗さんが仕掛けたとかじゃないだろうな?」
僕が睨みつけると影斗さんは言い返した。
『言っただろう? 俺は話しかけたヤツにしか呪いをかけない。少なくとも密室になったのは確かだ』
「そんな……もうここから出られないの……?」
まりあが顔を青ざめた。
僕は彼女を励ました。
「大丈夫、僕らで脱出する方法を探そう。まだ終わりだと決まったわけじゃない」
すると僕はあるものを見つけてドアにかけよった。
そこにはさっきまでは無かったロック式錠の鍵がかかっていた。
四桁の数字を入れなくてはいけないらしい。
「どこかにヒントが隠されているはず。こいつは、リアル脱出ゲームに参加した時の経験がいかされるぞ」
僕は夏休みに都内のテーマパークで遊んできたのを思い出し希望が少しだけみえてきた。
「リアル……なんですかそれ?」
「物語のキャラクターたちの謎を解いてエンディングを制限時間内にクリアすれば【脱出】は成功になる。ジャンルは色々あるけど達成した時の感動は最高だよ」
『この瞬間を楽しんでいられるのはそのことか』
さっきあったピアノが怪しいと思った僕は調べてみるとあるもの見つけた。
三枚の白い紙、黒い文字や記号が書かれていた。
「タツキさん……これ楽譜じゃないですか?」
「本当だね。でも一から三のところにそれぞれ違う音符が書いてある」
それに、赤い字でヒントが書かれていた。