学院怪談忌 旧校舎の謎 ACT3-2 鍵 Key

【おとぎ話の曲名が答え】

とても、ざっくりとした内容だ。

僕たちは楽譜をよく読んでみる。

でも、僕にはピアノなんて弾けないし楽譜さえ読めない。

音楽のジャンルは絶望的だ。

「……まいったな」

「あの、もしかしてこの譜面。全てある曲のサビの部分だとおもいます」

「本当に!?」

まりあは読めたらしい、だが問題はどれを演奏するかだ。

影斗さんはピアノをじっと睨みつけている。

「僕……ピアノ弾けない」

「任せてください。正解がわかりました。答えはこの楽譜です」

すると、まりあはイスに座り右側に置いてある楽譜を取り、鍵盤に向かって集中し始める。

深呼吸しているようだ、絵になる。

「すーっ……いきますね」

まりあが弾くピアノの音色はうっとりするほどおだやかだった。

僕はどんな曲名なのかはわからないけれど、その音色のとりこになってしまう。

演奏が終わり、まりあがお辞儀をすると僕はいつの間にか拍手していた。

「すごいね!とても素敵な演奏だったよ」

「ありがとうございます。わたしができるのはこれくらいなので」

「それで……いったい何を弾いていたんだい?」

「今弾いたのは、【こんぺいとうの踊り】です」

『くるみ割り人形か。俺には不協和音に聞こえたがな……』

まりあは楽譜を見て答える。

「正解は二番です。残りは【エリーゼのために】と【運命】ですわ」

「うわっ……どれも悲しい曲ばかりだな」

名前だけは知っていて、音楽の授業で聴いたことがある。

そして楽譜の最後には四桁の数字が記されていた。

[2 5 9 8]

赤い文字が不気味に見えてきた。

残りの二枚(【エリーゼのために】、【運命】)を見てみると、四ケタの数字は書いていなかった。

まりあは、それを見て僕に教える。

「2598ですね、この番号かと」

「ありがとう。よし……この数字を入れてみよう」

僕はロック式錠の白い枠に先ほどの数字にあわせてスライドする。

ガチャ!

「やった!これでここから出られるぞ」

「よかった……」

「まりあちゃんのおかげだよ。ありがとう」

「タツキさんもですよ、あなたはわたしの命の恩人です」

まりあが僕をほめごろし、照れを隠せずにはいられなかった。

影斗さんがやれやれ、とあきれ顔に。

「これで終わりかな?」

『いや、まだ残っている生徒がいるはずだ』

だとしたら次の場所へと向かうためにここを出るしかない。

だけど僕は少し気になったことがあり、まりあに質問する。

「そういえば君の他にも行方不明になった生徒を知っているかな?」

「いいえ、わたしにも分からなくて。お役にたてず……すみません」

「気にしないで」

また振り出しに戻った僕たちは音楽室を後にした。

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幽刻ネオン

はじめまして、趣味は読書(ミステリー、ホラー、怪奇小説)とゲーム(リズム、ノベル)です。最近までネットで小説をかいていました。自閉症、トランスジェンダー持ちではありますが、無理なく仕事ができるように訓練しています。スピリチュアル(占いなど)が好き。 アニメ(ラブライブ)やゲーム実況(にじさんじ)にはまってます。 紡ぎ手として様々なことに挑戦していきたいです。

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