その後、旧校舎は取り壊された。
ドアの外では何人もの生徒たちが貧血で倒れていたらしい。
これはあとから分かった話だが、旧校舎の中に一枚の紙があった。
それは、なぜか日本語ではなく英語で記されていた。
【一、千九百四十五年にイギリス人の少女の遺体が人形と一緒に埋まって発見された。二、彼女の両親は元々研究者らしく娘を置き去りにし、ある研究を裏で計画していたという。その後両親は原因不明の病で亡くなった。三、ここは元々教会とお墓があった】(一部抜粋してあり、これぐらいしか読めない)
取り壊された場所は立ち入り禁止になり、パトカーのサイレンだけが聞こえてきたということぐらい。
まあこれは……クラスの子から聞いた話なんだけど。
もし僕がこんな不思議な体験をしていなければ隠ぺいされていた出来事が世に知れ渡ることはなかっただろう。
工事の人がこれを見つけたときは驚いていたらしい。
念のためにお祓いもしたんだとか。
そして、旧校舎がらみの怪談のウワサはきれいさっぱり消えた。
家に帰宅してから結構な時間がたち、部屋の中で【あの出来事】を思い出し僕は身震いした。
まるで悪夢でも見ていたような感覚だった。
「……どうしたの? みんな」
目の前には、【本物の姿(人ならざる者)】で現れた三人。
まだ僕になにか言いたいことがあるのだろうか。
『あなたが来てくれたおかげでワタシは解放されたの。だからお礼がしたくて』
「別にお礼なんて……僕はただ巻き込まれただけだよ」
『だとしてもだ。他の人間なんて俺を見ただけで逃げたからな……』
「え? どういうこと」