翌日、僕は無くなった【旧校舎】に向かって呟いた。
「本当に不思議な出来事だったな……」
昨夜は不思議な夢を見た。
金髪の白いワンピースを着た、女の子が僕の目の前に現れてニコニコしながら感謝を伝えていた。
もしかしてと僕は旧校舎で聞いたあの声……と思ったがなぜだか声が出せなかった。
気がつけば目が覚めていて何も覚えていない。
僕はこれ以上考えるのはやめにした。
だって信じてくれないだろ、僕が旧校舎で出会ったのは幽霊なんかじゃない。
孤独を抱えていた、悲しくて恐ろしい奴ら。
真っ暗な場所で、僕は赤い本を閉じた。
フッと息をかけて蝋燭を消す。
「えっと……次は誰が話すの?」
これが僕が体験した話。