※この物語には刺激が強いホラー要素(流血)が含まれます。読むときはくれぐれもご注意ください。
二月の後半。
ここは、清水黄昏(しみずたそがれ)学院高校。
あの旧校舎事件からまだ二カ月もたたない。
そんな中、校庭に一人立っていた赤いスーツ姿の女性がいた。
長髪でスタイルも良くきりっとした瞳が印象的。
学院から生徒たちの声は聞こえない、なぜなら今は冬休み期間。
彼女が手に持っている一枚の写真。
今は写っている人物はここにはいない、彼女は大きなため息をついた。
「……あの子は元気かしら」
写真に写る制服を着た少女のぎこちない笑顔に涙がこぼれ落ちる。
「もう時間がない……誰か、私を助けて」
そう一言つぶやくと、彼女は学院を後にした。
今から話すこの出来事はこの学院に通う一人の少女の体験談である。
ある朝のこと。
あたし、朝宮蘭(あさみやらん)はリビングのソファーに座りながらスマホを見ていた。
今日は短期バイトの最終日(今は冬休み期間)。
内容はハウスキーパーのお仕事で、自分にピッタリだった。
なんでバイトをしているのか?
(欲しいものがあるのは勿論だけど……)
とにかく、空白時間をつぶしたかったから。
自分ができるのは、これぐらいしかない。
ふと目に止まった、写真立てに写っている両親を見る。