(先生の様子が何かおかしい……)
「……あなた、誰? 先生じゃないよね」
気がつくと彼女は黒い蝶々になっていた。
「え……」
そして蝶々はホコリへと変わり床に落ちた。
怒りがこみあげてくる。
「もう! 絶対に許さないんだからあ……!」
どのくらい時間がたったのだろうか。
掃除ってとても楽しいなとこれまでは思ってきたのだが、今回ばかりは違う。
先生に化けていた蝶々が許せなくてなかなか、上手くいかない。
だとしたら今、彼女はどこにいるんだろう。
その時、あたしはとある違和感を覚えた。
「おかしい……どうしてこんなに綺麗なの?」
ホコリが一つもない。
夢でも視ているのだろうか。
「いやでも他の場所がよごれているはずだよね……」
辺りを見渡すと、どこを見ても綺麗になっているところが多い。
(もしかして、二階も?)
そういえば、まだあたしはこの家のことをまだよく知らなかった。
「そうだ! なんでここ調べるの忘れたんだろ。あっ……勢いで向かったからか」
あたしは急いでスマホでこの家の詳細を調べた。
すると記されていたのは自分でも想像していなかった事が。
(ん? なにこれ……⁉)
【いわくつきの幽霊屋敷 ××スポットとしては隠れ名所 所有者が行方不明】
「うそ……行方不明……冗談だよね?」
どうやらこの家が事故物件扱いされているようで、サイトを見る限りあまり評判はよくない。
【誘拐犯が入った噂もアリ 肝試しに来ていた者が原因不明の×××】
なんだか気持ちが悪くなってきた。
手の震えも止まらない。
「噓でしょ……」
無事に脱出できたら、バイト先にクレーム入れたいくらいだ。
「まあでも、とりあえず掃除をしながら探索してみたほうがよさそうね」
気持ちを切り替えて、あたしは別の場所へと移動した。
今度は二階だ、何事もないといいが。