それを見た瞬間、あたしは悲鳴をあげた。
「きゃあああああああ!」
あたしは顔を真っ青にしながら思わずノートを閉じた。
最後の文章が赤い文字の殴り書きで、血の痕がついていたのだ。
なんだか気持ち悪くなってきた。
「……ねえ、これって」
『見た感じ、遺書にも見えなくないな』
九龍がいたずらっぽく笑う。
あたしはショックを受けその場に座り込む。
「そんな、こんなことって……」
こんな物見るんじゃなかったと、あたしは後悔した。
「やっぱりここ、何かおかしいよ」
机から離れて、あたしはそっと立ち上がる。
すると何かに思い切りぶつかった。
「痛っ…! もう、今度はなにっ?」
振り向くとそこには黒くて大きな箱があった。
同時になんだか頭がぼーっとしてきた。
あたしの瞳から光が消える。
「ああっ……これが……」
『やっと引っかかったか。そのまま堕ちな……』
九龍はあたしの姿を見てにやりと笑っていた……。
あの箱から甘くて良い匂いがする。
きっと令菜先生があたしを、待っているに違いない。
あたしは黒い蓋をそっと開ける。
「ねえ……令菜先生……? そこにいるんですよね?」
しかし、中に入っていたのは横になって眠っていた男性だった。
「えっ……いやあああああっ!?」
瞳に光が戻りあたしは、はっと目を覚ました。
両手がガクガクと震えてパニックになる。
(もし、さっきの九龍のように起き上がって襲い掛かってきたら……)
九龍はあたしを助けようとする様子もなくただ箱をじっとみていた。