学院怪談忌 呪われた箱 ACT5 再会 Reunion

あたしは急いで階段から降りた。

だって早くあの声を知りたいから。

「はあっ、はあっ……。あっ……見つけた!」

そこにはうずくまっている令菜先生の姿が。

でもなんだか様子がヘンだ。

「令菜先生っ! しっかりしてください、あたし、朝宮蘭です!」

……? 蘭ちゃん?

令菜先生がゆっくりと目を覚ます。

今まで隠してきた感情がいっきに爆発し気が付くと、先生に抱きついていた。

「先生……ぐすっ……会いたかったよお」

あらあら、心配かけてごめんなさいね

今度こそ、とあたしは願っていた。しかしまた違和感を覚える。

 なぜ身体が冷たいのか

あたしはゆっくりと彼女の顔を見る。

「令菜先生⁉ なんですか……その姿は」

宙に浮いている、切ない顔であたしを見ていた。

ごめんなさいね。蘭ちゃん……私、実は幽霊になっていたの

「……そんな」

まだ夢でも見ているのか。

頭が混乱してきた。

「一番信じたくなかった……あの! ど、どうして令菜先生は……そんな姿に?」

……ごめんなさい、覚えていないわ。けれどずっとこの家に執着していたことは覚えているわ

あたしの今までの期待が絶望へと変わった。

「どうして……?」

私ったら馬鹿ね。蘭ちゃんをこんな怖い目にあわせるなんて

(違うわ! 令菜先生は何も悪くない!)

こんなにもツラそうな先生を見たのは初めて。

「そんなことないです! あたしは先生が苦しんでいるのを知らないでここまで来たから……」

蘭ちゃんは昔からそうだったわね、あなたは誰よりも優しくて強い心を持っている

あたしが生きる希望が今、目の前に……。

すると、足元に違和感を感じた。

「え……?」

あの日記が落ちていた。

(嘘? どうして、こんなところに? ちょっとまって……⁉ 日記で読んだあのってもしかして……!)

どうしたの? 蘭ちゃん

「な、なんでもないです」

もう終わりよ……ここから出られる方法なんてないんだから

「令菜先生! あきらめないで。あたしが何とかしてみせます!」

蘭ちゃん……ありがとう

幽霊でもいい。あたしは令菜先生に会えただけで充分だった。

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幽刻ネオン

はじめまして、趣味は読書(ミステリー、ホラー、怪奇小説)とゲーム(リズム、ノベル)です。最近までネットで小説をかいていました。自閉症、トランスジェンダー持ちではありますが、無理なく仕事ができるように訓練しています。スピリチュアル(占いなど)が好き。 アニメ(ラブライブ)やゲーム実況(にじさんじ)にはまってます。 紡ぎ手として様々なことに挑戦していきたいです。

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