『うっ……』
「⁉……どうしたんですか?」
突然、令菜先生の表情が苦しくなる。
『蘭ちゃん……逃げて……』
彼女の首筋から大量の血が流れ出す。
目から血の涙も溢れだした。
「きゃあああああああ⁉」
それと同時に九龍とランスロットの姿がないことに気がついた。
「ねぇ……二人はどこ?」
あたしが、周りを見渡した時だった。
「ひっ……⁉」
そこには制服を着た少女たちが赤い鎖に繋がれていた。
「なに……? これって」
『きゃあああああ!』
「先生!?」
令菜先生が悲鳴をあげ、あたしは振り返る。
彼女も赤い鎖に繋がれていたのだ。
あたしはその信じられない光景に目を疑い叫ぶ。
「ねえ! 九龍、ランスロット! どこにいるの!?」
すると不気味な笑い声が響き渡ると同時に雷が鳴る。
あたしは、ほうきをぎゅっと両手で握りしめ暗闇を睨みつける。
音にびっくりして足がガクガクと震えてきた。
なんだか嫌な予感がする。
背後からひんやりしたモノがあたしの肩に触れ、生暖かい息を吹きかけられる。
「ひっ……」
『見つけたぜ。全てを知ってしまったようだな、蘭』
『君には知られたくなかったが、丁度いい』
「いやあああっ……なにこれ……」
『いいか、よく聞け! この洋館の真実を教えてやる。あの箱を見てしまった人間が皆こうなる運命だ』
『この鎖は、俺の力で彼女たちを繋いで血を奪っている。皆、俺に逆らったからな』
九龍とランスロットはあたしを見て冷ややかに笑う。
「噓でしょ? 彼女たちになんの罪があって鎖に繋いでいるの? それに、令菜先生は何もしていないじゃない!」
『彼女たちは、遊び半分で俺たちの寝床を開けてしまった』
「証拠はあるの?」
『ここにいる者は皆、好奇心でそれを開けた。その隙に頂いたんだ』
「令菜先生、それは本当なの⁉」
あたしが震える声で話すと彼女は苦しみながら応えた。
『騙されないで! 彼らの言葉に耳を傾けないで……!』
『黙れ! お前は確かに彼女たちを救いたいと心から願ったようだが全ては主の計画通りだ』
『箱を開けたのは貴様の癖に!』
九龍とランスロットは令菜先生に対して怒っている。
あたしは訳がわからなくなってしまった。
(なんで二人は怒っているんだろ……? 今まであたしには優しかったのになぜ?)
あの日記の内容がもし先生が経験した事だとしたら……考えたくもない。
すると脳内に電撃が走る。
「まさか……」