「……お願いします」
『そうね。あれはあなたがまだ、高校生になる前の話よ……』
あたしは令菜先生の瞳を見つめると、視界が急に真っ白になった。
「まぶしいっ!」
震える声で彼女は語りだした。
親族が亡くなったという知らせを聞いた。
あの箱を送りつけてきたのには、きっと深い理由があるのでしょうね……。
ある日、私が退職届けを出した後に多くの女子生徒たちが集まり悲しみの声をあげていた。
「令菜先生! やめないでください! わたし、先生がいたから今まで頑張れたんです」
「そうですよ! 私に部活の相談にのってくれて自信がついたのも令菜先生のおかげです」
「先生……また学校に戻ってきてください!」
あのときから私は生徒たちの人気者だと初めて知って……少し嬉しかったわ。
それから悲劇が起きた。
ある春休みのこと。
私の家に、女子中高生徒たちがやってきて楽しそうに何か準備をしていた。
どうやら配信をしているみたい。
なんの為にここに来たのかは分からない。
数人の子が、興味本位で箱を見つけて開けようとしたの。
「ねえねえ、開けてみようよ!」
「何が入ってるのかな?」
私は開けちゃダメ、と大声で叫んだけどなぜか声が届かない。
すると突然、背後から鎖が現れ彼女たちの身体に次々と繋がれていったの…!
しかも、化け物が二人も現れて、不気味な笑みで私たちを見ていた……。
彼女たちは悲鳴をあげ逃げようとした……。
けど、化け物に捕まって私だけが一人取り残された。
彼女たちには彼らの姿が見えていなかったの。
それも、私しか見えなかった……。
「いやああああああっ!」
「あがっ……助けて……」
床や天井は血まみれになる。
しかも彼女たちは、まるで人形のようにつり上げられて虚しく泣き叫んでいた。
私はただそのありえない光景をただ呆然(あぜん)と見ていることしかできなかった。
何度叫んでも彼女たちに声が届かない。
気がついたら意識はそこで途切れていた……。