私は、本の世界にジャンプすることができるの
詳しく聞かせてちょうだい
最初は半信半疑で聞いていた話も
写真の話や例のキーワード、“本界”について詳しく知ることができると
納得してしまう自分がいる。
そして今一番欲しい情報が手に入ろうとしていた。
私とストーリーの関係だけど…
きた、この日をずっと待っていた
私が1番気になってた須藤君としおりんのこと…
なんとなくだけど話を聞いてわかったことは
須藤君は人間じゃないってこと
そしてしおりんには不思議なチカラが働いている…
そんな気がした。まるでラノベの主人公みたい
現実におばぁちゃんの形見で本の世界に行けるなんて
普通の学生ができることではない…………
本城家に隠されてる何かがあるのだろうか?
ストーリーはね、妖精なの
は?いま、なんて言った??
妖精…? そんなわけあるか…
いくらなんでもそこまで馬鹿じゃないわ
からかわないでよ、しおりん!そんな、夢君みたいなエピソード…
あるわけ…
え、なにその…真面目な表情………
本当に実現できちゃうの?そんなことが?!
あるの?
うん
信じたいけど…信じてあげたいけど
人間ではないことは納得。正体が妖精だって思う?
いくらなんでも無理があるでしょ………
私が見たわけでもないのに確認もできないし
待たせたな詩織…それと亘理
遅いわよ!ストーリー!
須藤くん?
私としおりんの前に音も立てずに現れたのは
今、話の中心にいる須藤くんだった!
今まで何してたの?帰りも遅くなって…
亘理、お前には言えないことだ。詩織行くぞ………
証拠は?精霊だって言われても納得できない!
ちょっと話し方が変わった子供にしか見えないじゃない
なら写真撮って見て!多分だけど、映らない…………から
そこまで言うなら………
しおりんに言われるがままに写真を撮ると
確かにしおりんしか映ってなかった。
須藤君のいる空間だけグニャっとした捻じ曲がってる
亘理に言いたいこと、話したいこと
いっぱいあるけど今は時間がないの。
だから、本界から戻ってきたら全部話すから
今はストーリーが人間じゃないってことだけでいいから
信じて………ほしい
しおりんの真剣な表情…
そこには漫画やラノベの話で盛り上がっている
いつもの、しおりんの姿じゃなかった。
私の知らないしおりん…………
確かに人間ではない須藤くん
不思議と精霊って言われても不気味じゃなかった。
普通に話せるし…
今までありがとう…亘理
余は2週間以内に日本を離れないと
人間達が不幸になる、そこにお前も入ってる。
だから余はどうしても離れないといけない………
…………
そっか…………しおりんや須藤君は
この世界を守るために本界へ行くんだ………
私、何もわかってなかった
自分のことばかり…
もう会えないなら最後に
須藤君、今までありがとう…元気でね。
よかったらコレ持っていって
またな!
私は精霊が題材となり人気になった漫画をプレゼントした。
ホンモノの精霊にいつか会えるのを楽しみにしていた私が
ホンモノの精霊に感謝して渡した。
じゃあね、亘理!必ず戻ってくるから!
当たり前よ!戻ってきてよねー
いろんな土産話きかせてね、しおりん
必ず…戻るから!
そう言った2人の姿はなかった。
玄関を開けてもなかった…
つづく