本当にいいんだな?
ああ…仕方ない事だと思う、ソレにあいつも
少しは反省すべきだ。遠慮なく扱いてやってくれよ
なら余も躊躇することなく全力でやれる。
お主と詩織は今日をもって本界に来れなくなる…良いな?
詩織が納得しなくても引っ張っていくつもりさ…
それは助かる…詩織はこの世界に慣れすぎてしまった…
ちょっと心配ではあるがお主がいるから大丈夫じゃろう
そりゃどーも、んじゃ迎えに行ってくるわ!
詩織が最後のオリジナルストーリーを体験し終わり
染み染みと今まで冒険してきた本達を見ては思い出を振り返る
本を大切にしまい立ち上がると木時が急いでやってくる
詩織〜〜
木時、無事だったのね!
それはこっちのセリフだぜ、お前大丈夫なのか?
平気よ…これも頁次のお陰
本界に、ストーリー・木時・頁次・詩織が集い
別れを告げる時がやってきた。
じゃあ、元気でな…
詩織…幸せにね。もう会えないけど精霊界で貴女達のこと見守ってるわ
今まで、ありがとう…沢山の冒険をさせてくれて楽しかった…
私のおばあちゃんがブルー様と会ってなければこの出会いもないんだと思うと
なんだか感慨深いわ…さようなら
詩織と木時は手を繋いで人間界へ戻った。
詩織がいなくなった瞬間、頁次は号泣する
ストーリーは、そんな頁次に休暇をとらせた。
遠回しに…心配してくれているのよね…ストーリー様なりに
頁次はしばらく本界に留まり詩織の選択肢1つで
物語が大きく変化しハッピーエンドになった
本達を眺めては懐かしさを覚えていた。
さて、余の仕事はこれからじゃ
ストーリーは精霊会議にて決まった事項を実行する
書類にある人物を召喚
召喚された人間は鎖に縛られながら大画面に
ストーリーの音声だけが流され困惑する。
なに?一体なんなのよ!!
扇田桜火だな?
そうだけど…アンタ達は何者?
先日のことを覚えているか?お前はある少女を刺した
ええ、はっきりと覚えているわ。あの女が悪いのよ!
私のおにぃちゃんを独占して…わたしの…私のおにぃちゃんなのに!
そんなお主に罰を受けてもらう
罰?
パチンッと、指を鳴らし大画面には
いっぱいの女の子が出てきた。
これからお主には、出てくる文章を間違わずに一言一句読み上げてもらう
ある映像と共に出てくる。難しい漢字が出てきてもルビはふってない
中学生なら授業で受けている簡単な漢字だが、もし間違えれば
お主の髪を少しずつ斬らせてもらう
いやよ、いや…
では始めよう…
映し出された映像は、兄妹がいて妹は兄の事が好きで
たまらなく兄に近づこうとする他の女性を排除するという
正に性格がそのまま扇田桜火の主人公
兄は、他の女性と仲良く恋愛対象は1人に決めているので
その子以外興味がなかった。
やがて兄の好きな子がよく怪我をするようになり
怪我をさせているのが妹だと分かると兄妹喧嘩が始まる
もう、やめて…この前の私とおにぃちゃんじゃない…
桜火は読んでいると自分に関するエピソードだということがわかり
次第に音読していくのが辛くなってくる。
『どうしてわかってくれないの?』
『俺はお前のことが前々から嫌いだったんだよ』
いやあああああああ
伽羅やれ
りょーかいでーす
な、何をするの?やめて…お願い…この髪は唯一おにぃちゃんと
同じ綺麗な黒髪なの。毎日手入れして…
問答無用〜
チョキ
少しずつ間隔を空けて斬られていく髪
綺麗な黒髪が無残にも床に落ちていく恐怖に
耐えきれない桜火は叫ぶが誰もやめようとしない。
その状態で音読するも噛んでしまい髪をまた斬られる
精神的ダメージは大きく、桜火は先端恐怖症になった。
なぁ、さっき言ってたブルー様って?
あとで話すわ。木時ってまるで王子様みたい…
そ、そうか?
主人公が困ってる時…必ず助けてくれる
私の理想の王子様……
そんなヒーローみたいに言われてもなぁ…
ねぇ、私ラノベを書こうと思うの!
お、いいじゃん!
本界で経験した事忘れないように記憶が残ってるうちに
書こうと思って…
なるほどな!で、タイトルは?
【碧い栞と王子様】
私が経験した事をそのまま本にするの
精霊と人間の叶わない初恋
精霊だけが行き来できる人間界
そして本界に行ける切符を手にした主人公の
ブルーカードの真相
ラノベは、いままで読む派で書いた事はなかったけど
筆を持つと書きたい事がいっぱいで止まらない
私だけが経験した物語、みんなに読んでほしい
いつか………本になったら誰かの目に止まるような
そんな作品にしたい。
詩織、お帰り
ただいま…亘理!
そして、亘理のいる本屋で売ってもらう
それが私の夢
頁次やストーリーが教えてくれた事
忘れないためにも
私の人生という物語はまだ始まったばかり
さあ、次のページへ進もう…
おわり