あるため池に、ハスの花が咲きだしました。
ふんわり・・・さー
せっかく咲き始めたというのに、ぽつりぽつり・・・
ざーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!
突然大雨が降ってきました。
咲き始めたばかりのハスの花は、大雨に打たれビックリ・・・!!!
それを見ていた、池のコイは、大慌てでハスの葉っぱの根っこのほうを動かしました。
ハスの葉は、傘のように花を雨から守ります。
それを見ていたカエルは、
あーーーーよかった・・・!
カエルは、強い雨に打たれて苦しくなってきました。
「こんにちは、ハスさん。
僕は雨は好きなのですが、あまりにも大雨なので、少し傘の下で休憩させてくれませんか?」
「こんにちはカエルさん、もちろんいいですよ」とハス。
カエルは、ハスに声が聞こえるように近付き、話しかけます。
「ハスさんは、花が華やかで、人間が喜んで見に来るし、写真も素敵に撮ってもらえるし、いいですね。僕は、人々に嫌がられることも多いので寂しいですよ。」
ハスは答えます。
「確かに、見に来てもらえるのは嬉しいですね。でも、花が終われば誰も見向きもしません。喜んでもらえるのは、いっときだけですよ。
カエルさんのことが好きな人間もいるし、ほら、子どもたちは喜んで見てくれることも多いじゃない?」
カエルは、子どもたちが笑顔で寄ってきてくれたことを思い出しました。
「そういえば、そうだったなぁ。追いかけられるのは勘弁してほしいものですが、僕を見て喜んでくれる人も少しはいたっけなぁ。」
ハスは、カエルに聞きます。
「カエルさんは、何が好きですか?」
カエルは答えます。
「僕はコイさんが好きですね。
僕よりもスイスイ速く泳げるし、ヒレが美しいし、なんだか威風堂々としていますからね。
ハスさんも好きですよ。やっぱり華やかで人気者で、憧れます。
大きな葉っぱの下での休憩は心地が良いです。
・・・ため池にコイとハスなんて素敵でしょう。」
すると、ハスはこう答えました。
「私もコイさんが好きなんですよ!
そうそう、ヒレが美しくて、ゆったり堂々と泳ぐ姿はうっとりしてしまいます。
それに、さっきのように守ってくれて優しいのです。
カエルさんも好きですよ!ぴょんぴょん飛べるのは羨ましいですし、歌声には癒されるんです。
ため池にコイとカエルも素敵でしょう!
・・・カエルさん!?
コイが好きな事、同じですね!」
そして、ハスは続けます。
「カエルさんは、私の葉になんだか良く似合いますね。
ため池にコイとハスとカエル・・・素敵じゃないですか!!」
それを聞いていたコイは、嬉しくなって、思わず池の水面から口だけ出して言いました。
「私たち、友達になりましょう!!ため池素敵友達です!!」
「ええーーーー!!!」
カエルとハスはびっくり!!
その頃には、雨も上がってきました。
コイは、ハスの葉の傘を元に戻してあげました。
人々がハスの花を見に来ました。
ハスは、茎をしっかり伸ばして、おすましポーズで迎えます。
カエルは、優しく歌います。
コイは、のんびり泳いでいます。
素敵なため池の上に、虹がかかりました。
コイとハスとカエルは、このため池で、いつまでも仲良く暮らしましたとさ。