翌日、公園の近くにシアが来ていた。
そして俺はクラスメートの彼女たちを睨み付けながらベンチに隠れてみていた。
(あ?なぜ制服を着ているのかって?)
調べたら学生は制服で来ることが条件だとかいてあったからだ。
彼女たちの話し声を聞いた。
「やっと来たね、シアさん。わかっていると思うけどリタイアなんてナシだからね」
「そうそう。もうあなたのことは無視する。ゴールできたらの話だけど」
「まあ? そう簡単にはうまくいかないと思うけどね」
冷ややかにあざ笑う彼女たちを見たシアは表情一つかえることなくうなずいた。
それにムカついたのか、一人の女生徒がシアの頬を強く叩く。
(ちっ……今すぐにでもあいつらを懲らしめたい……)
俺はまだその時ではないと自分に言い聞かせ舌打ちする。
「……はやく行きましょう、時間の無駄」
強い言葉に彼女は我慢しているのがわかる。
違う、本当はそうではないはずだ。
表情(カオ)には出ていなくても身体が小刻みに震えているのがわかる。
「そうね。早く行こ」
「調子に乗らないでよね」
「……言われなくても」
彼女たちが次々と、中へと入っていく。
俺はすぐに立ち上がり準備もかねて後をついていくことにした。
もし何かあったとしても、絶対に何かあると信じて。
ウワサのお化け屋敷に入って作戦を実行する。
この日のためにちゃんと規則正しい生活を送った。
霊感だけが取り柄の俺はここでようやく力を発揮できるだろうと、想い覚悟を決めた。
「ミスは許されない……すいません。俺も入ります」
受付の人に軽く挨拶をすると、どうぞと言わんばかりに無言でドアの方を指さした。
ここはきっとお化け役が本気(マジ)だとウワサされているが関係ない。
「行くぜ」
ドアの奥に続く闇を睨みながら俺は中へと入った。