不思議図書館・追「8:窮追」(後編)

『フォーカシング・リレイション!』

『サイド・スーシル!』

仕え魔契約により生まれた、新たな魔法がみる達を銀色の光で包む。一瞬で銀色の毛先と瞳の光を持つ姿の、みるが現れ鎌を手にした。

「さあ、銀色の女神の破滅と絶望!」

【たっぷり味合わせてあげるよ!】

みるの口からの声と、スーの頭に響く声がこだまする。

「これが…銀神娘シル様の力…!!」

仕え魔と合体し共になることで、ほぼ神に近い姿に「変神」したみる。レインが最も恐れていた事態に、ついに成ってしまった。

「すごい!魔法の処理速度がハンパない!」

【ボクとリレイション(relation)してるんだから、当たり前でしょ?ふふん、力だってハンパないよ〜?】

みる(+スー)が鎌を一振りすると、八振りしたような痕と風圧が生まれる。

「お〜!」

勢いに乗ったみるは、ノーヴの攻撃を全て斬り伏せ、そのままレインに向かっていく。

「レイン!」

【よくもボクとエーナに酷いことを!】

レインは防御魔法を展開して、みるの鎌の攻撃を防いだ。

「私は、みる、貴女だけが欲しかった。その他の存在など道具に過ぎない!」

「そんなヤツのところに誰が行きたがるのよ!…私を手に入れても、どうせそれで満足して終わりでしょう?そんなの他の道具扱いと変わらない!」

「何がいけないのですか!どいつもこいつもカルムばかり…私もセブンス様の弟子なのに!」

「だからってカルムと同じものを手に入れても、レインはカルムじゃない。私がソル様やシル様ではなく、1人の「みる」であるように。」

【ボクもエーナにはなれないし、エーナの代わりなんていないよ。もちろん、ミィも!お前の代わりがいるなら、そっちを殴ってやるし。】

「私…は……。」

レインの防御魔法が消えていくのを察した、みるはレインから鎌を離す。

「それに、レインにはカルムにも私にもできない魔術が沢山あるじゃない。図書館の管理とか…そっちでマウント取ればいいのよ!」

「えっ…みる…?」

「それにレインはベタベタしないし、追っかけないし、もう少し爽やかになったら私も遊びに行きやすいよ?」

「みる!!?」

カルムがショックを受けているのをガン無視して、レインに言う、みる。それを見たレインから、乾いた笑いが溢れた。

「ははは…そう…ですか、そうでしたか…私は…間違えていたのですね…ずっと…。」

「わかれば宜しい。じゃあ、まずはノーヴを戻して。」

「戻りません。」

「「「はぁ!?!?」」」

ほぼ全員の声が図書館内に響き渡る。

「アレは根が深かったので、私の魔術が効きやすい状態でした。ですので、元を断たなければ戻りません。」

「元って…何?」

「ノーヴの心にある深い負の記憶です。今の彼にそれを乗り越える精神力が無いのですよ。」

「そんなの、どうしたら…。」

「私の出番ですね!」

そう言ってユリィの腕の中にいたエーナが立ち上がり、みるの方へ向かった。

「バトンタッチです、スー。」

【うえええ!!もう!?やだー!ボクももっとミィといたいー!リレイションしていたいー!】

「ノーヴ様が元に戻れなかったら、ミィは後悔しますよ?」

【うぐぐ…わかったよ…。】

スーを納得させたエーナは、振り返って言う。

「私とミィ…みるがリレイションして、イミア様と共に、ノーヴ様の心に入ります。そして負の記憶を乗り越えられるようにします。その間、皆様はノーヴ様が図書館から出ないように抑えていてください。」

「そんなことができますの?」

「はい、私は金神娘ソル様との相性が良いので。それでいいですよね?ミィ。」

「それしかないなら…うん。イミアもいい?」

「もちろん!」

「では、いきましょう。」

みるはスーとのリレイションを解き、今度はエーナと変神する。

『フォーカシング・リレイション!』

『サイド・ソルエーナ!』

今度は金色の光がみるを包み、金色の毛先と瞳の光を宿した姿のみるが現れた。

「覚悟はいい?イミア。」

「当たり前だよ!」

みるが差し出した手を取ったイミアは、みると共に光に包まれると、本の中に入るように、ノーヴの心に入っていく。

「っ……これは…」

そこは、雷鳴が轟き、暗い雲で覆われた世界。

「これが…ノーヴの心の中…?」

【はい。そして今から向かう場所が、ノーヴ様が苦しむ「負の記憶」です。】

みる(+エーナ)とイミアは、最も暗い場所…ノーヴの苦悩の記憶を「観る」為、暗黒の中へ飛んで行った。

終わる。or 関連本の追求。

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メルン

小説を書くのが好きな、アニメ・ゲーム・読書が趣味の人です! 目についたものや不思議なことを小説にしたり、絵にも挑戦したいです。 ほのぼの、ほんわか、ちょっと謎な話もあるかも…?

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