『フォーカシング・リレイション!』
『サイド・スーシル!』
仕え魔契約により生まれた、新たな魔法がみる達を銀色の光で包む。一瞬で銀色の毛先と瞳の光を持つ姿の、みるが現れ鎌を手にした。
「さあ、銀色の女神の破滅と絶望!」
【たっぷり味合わせてあげるよ!】
みるの口からの声と、スーの頭に響く声がこだまする。
「これが…銀神娘シル様の力…!!」
仕え魔と合体し共になることで、ほぼ神に近い姿に「変神」したみる。レインが最も恐れていた事態に、ついに成ってしまった。
「すごい!魔法の処理速度がハンパない!」
【ボクとリレイション(relation)してるんだから、当たり前でしょ?ふふん、力だってハンパないよ〜?】
みる(+スー)が鎌を一振りすると、八振りしたような痕と風圧が生まれる。
「お〜!」
勢いに乗ったみるは、ノーヴの攻撃を全て斬り伏せ、そのままレインに向かっていく。
「レイン!」
【よくもボクとエーナに酷いことを!】
レインは防御魔法を展開して、みるの鎌の攻撃を防いだ。
「私は、みる、貴女だけが欲しかった。その他の存在など道具に過ぎない!」
「そんなヤツのところに誰が行きたがるのよ!…私を手に入れても、どうせそれで満足して終わりでしょう?そんなの他の道具扱いと変わらない!」
「何がいけないのですか!どいつもこいつもカルムばかり…私もセブンス様の弟子なのに!」
「だからってカルムと同じものを手に入れても、レインはカルムじゃない。私がソル様やシル様ではなく、1人の「みる」であるように。」
【ボクもエーナにはなれないし、エーナの代わりなんていないよ。もちろん、ミィも!お前の代わりがいるなら、そっちを殴ってやるし。】
「私…は……。」
レインの防御魔法が消えていくのを察した、みるはレインから鎌を離す。
「それに、レインにはカルムにも私にもできない魔術が沢山あるじゃない。図書館の管理とか…そっちでマウント取ればいいのよ!」
「えっ…みる…?」
「それにレインはベタベタしないし、追っかけないし、もう少し爽やかになったら私も遊びに行きやすいよ?」
「みる!!?」
カルムがショックを受けているのをガン無視して、レインに言う、みる。それを見たレインから、乾いた笑いが溢れた。
「ははは…そう…ですか、そうでしたか…私は…間違えていたのですね…ずっと…。」
「わかれば宜しい。じゃあ、まずはノーヴを戻して。」
「戻りません。」
「「「はぁ!?!?」」」
ほぼ全員の声が図書館内に響き渡る。
「アレは根が深かったので、私の魔術が効きやすい状態でした。ですので、元を断たなければ戻りません。」
「元って…何?」
「ノーヴの心にある深い負の記憶です。今の彼にそれを乗り越える精神力が無いのですよ。」
「そんなの、どうしたら…。」
「私の出番ですね!」
そう言ってユリィの腕の中にいたエーナが立ち上がり、みるの方へ向かった。
「バトンタッチです、スー。」
【うえええ!!もう!?やだー!ボクももっとミィといたいー!リレイションしていたいー!】
「ノーヴ様が元に戻れなかったら、ミィは後悔しますよ?」
【うぐぐ…わかったよ…。】
スーを納得させたエーナは、振り返って言う。
「私とミィ…みるがリレイションして、イミア様と共に、ノーヴ様の心に入ります。そして負の記憶を乗り越えられるようにします。その間、皆様はノーヴ様が図書館から出ないように抑えていてください。」
「そんなことができますの?」
「はい、私は金神娘ソル様との相性が良いので。それでいいですよね?ミィ。」
「それしかないなら…うん。イミアもいい?」
「もちろん!」
「では、いきましょう。」
みるはスーとのリレイションを解き、今度はエーナと変神する。
『フォーカシング・リレイション!』
『サイド・ソルエーナ!』
今度は金色の光がみるを包み、金色の毛先と瞳の光を宿した姿のみるが現れた。
「覚悟はいい?イミア。」
「当たり前だよ!」
みるが差し出した手を取ったイミアは、みると共に光に包まれると、本の中に入るように、ノーヴの心に入っていく。
「っ……これは…」
そこは、雷鳴が轟き、暗い雲で覆われた世界。
「これが…ノーヴの心の中…?」
【はい。そして今から向かう場所が、ノーヴ様が苦しむ「負の記憶」です。】
みる(+エーナ)とイミアは、最も暗い場所…ノーヴの苦悩の記憶を「観る」為、暗黒の中へ飛んで行った。
終わる。or 関連本の追求。