「お前は私らの何を知っている…」
Mはオリビアに対して質問をした。
Mとロゼレムの関係を浅く知っている人は比較的多い方だが、ロゼレムの事を「親」だと思っているという事を知っているのはMとロゼレムの二人だけだ。
誰にも話したことなんてないし、真相を知っていれば気軽に話せるような内容ではない。
なので、オリビアがそのことを知っていると言うのはおかしい。
「知ってるって…全てよ」
「…。」
「あなたの年齢や国籍、あなたが幼少期どういう生活を送ってきたかや、家族関係…何でもわかるわ」
オリビアは自慢気に話始める。
「出生地はアメリカ コロラド州。一人っ子で両親とは仲が良かった…」
「やめろ…」
オリビアはMの制止を無視してMの過去を話進めていく。
Mの幼少期の話、家族がどうなったか、なぜMが自分の名を名乗らなくなったのかなど、ぼかしつつもMのメンタルを少しずつ削っていくように話していく。
「やめろって言ってんだろ…!」
堪忍袋の緒が切れたMは冷静さを失い、オリビアの胸倉を掴もうとするが仕事を終わらせたアレクシスに取り押さえられてしまう。
「あら、タイミング良かったわね。今あなたの事を押さえてるのがアレクシス。あなたがこの仕事を受けないって言ったり、余計なことをしたら殺すように言ってるわ。それで、後ろにいるのがエレン。彼女はあなたを殺したりはしないだろうけど、あなたが一番嫌ってるところに情報を流すことが出来るわ。一瞬でね」
オリビアは笑みを浮かべながら二人の事を説明する。
エレンはめんどくさそうにスマホを弄っているが、そのスマホの中がどうなってるか知りたくない。いや、知らない方がいいだろう。
そして、Mの中で一番厄介だと思うのが彼女を押さえてるアレクシスだ。
彼女の表情は不気味なまでに無表情だがMを押さえる手の力は異様なほど強い。
彼女からしたら人を殴り殺すなんて虫を殺すぐらいの感覚なのだろう。
「それじゃあ確認だけど、この仕事引き受けてくれるわよね?」
「…ちっ」
Mは仕方なくオリビアの仕事を引き受けることにした。
断ったら自分だけに被害がいくわけではなく、彼女の事なのでロゼレムの情報も握ってると思っていいだろう。
何をどうやってもロゼレムを救える方法は現段階でないのだ。
Mは部屋を出ようとすると、エレンから一丁のハンドガンを渡され、オリビアは笑いながら「それでやってね」と最後に言った。
どこまで胸糞悪いんだ…とMは心の中で思いながら屋敷を後にする。
屋敷から数km車を走らせ、気持ちを落ち着かせるために車から降りる。
人気のないところなので渡されたハンドガンを手に取り、眺める。
正直、銃は苦手だ。むしろ嫌いだ。
エイム能力などが下手というわけではない。過去に良い思い出がないので苦手だ。
ロゼレムを殺すといった仕事でも絶対に使いたくない。
おそらくオリビアはその事も知っているのだろう。腹が立ってくる。
solitario: chapter3.Countdown to Collapse「14.Secrets you don’t want us to know…②」
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