※注意 この物語には一部百合要素、流血、ホラーな描写があります
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Chapter2 洋館の謎
元々ここは、叔父の家だった。
しかし月冴が高校を卒業した時に、病気でこの世を去った。
だがその中で彼はある体験をしたのだ。
それは洋館には人が住んでいた形跡があるらしい。
とある日記のようなメモには英語でこう記されていた。
【十九世紀終わりの冬。ここにはふたりの仲のいい男がいた。一人は科学者。一人は教授だ。自分たちでここに通いながら論文や研究の成果の功績を残していた。そんな中、教授がイギリスから大きな箱を持ってきたのだ。科学者はドイツから本を。どうやらクリスマスプレゼントらしい。何に使っていたのかは知らない。だがこのプレゼントがふたりを呪いへと導く】
ここまで読んだ叔父はプレゼントがどこかに隠されているかもしれないと思い探索をしたのだ。
大きな箱と本。
しかし、それを探していく間に洋館に違和感が訪れる。
誰もいないはずのドアから水の音がきこえる。
ガタガタと本棚が勝手に動き出したり。
飾ってある絵画がいなくなっていたり。
不審に思った叔父はここにはふたりの霊がイタズラをしているのではないかと思う。
あの日記を読んだ瞬間から。
しかし彼は気が付いていたのだ。
これは幽霊の仕業ではない。
血の匂い、鎖の大きな音。
叔父は【違和感】を残しながら、眠りについたという。
親戚が聞いた話では、近々この洋館から物音がするというのだ。
警備を頼んだのは、保険をかけたから……。
「ってわけよ。意味わかんねえよな」
月冴が語り終わると栞里は言葉も出なくなり顔を青ざめていた。
よほど、月冴の話が怖かったのだろうか。
「栞里?」
「え?……大丈夫だよ。叔父様は大変だったんだね……」
震える声でニコニコ笑う栞里。
月冴はため息をつき、手を叩いた。
「はいはい!これで話は終わりだ。夕食の準備するぞ」
「そ、そうだね!」
話題を変えてどうにか落ち着かせる。
作り話もいいところ……なんて栞里の前では言えなかった。
ACT3 誓いのホワイトクリスマス
なんとか夕食を終えて、安心するふたり。
栞里はうれしそうに月冴を見つめる。
月冴はどうしたのかと疑問に思いながら話した。
「おい、さっきから思っていたんだが。栞里はマジで私とつきあいたいのか?」
「もちろんです!月冴先生と結ばれることがわたしの願いですから!」
デートとはいえ、同居していると気になってしまう。
「うれしいけど。栞里はそれでいいのか?」
「はいっ!月冴先生以外の人とは結ばれません!」
栞里は本気のようだ。
月冴は窓を見つめる。
大雪が降り積もり、辺りは真っ白だ。
外に出たらひとたまりもないだろう。
そして……なにより。
「月冴先生!」
「な、なんだ?」
栞里が月冴の両手を握る。
お互いに見つめ合い顔を赤くそめる。
「あの……月冴先生。これからもわたしと一緒にいてくれますか?」
「あ、ああ。栞里が望むならなんでもいい」
「本当ですか⁉」
栞里が月冴を抱きしめる。
やっとこれで、自分は解放されるんだ。
栞里は覚悟を決めていた。
クリスマスで本当によかったと。
「月冴先生、愛しています」
「栞里……」
そのとき。
(うっ⁉)
(きゃっ⁉)
ずきりと、痛みを感じる。
するとふたりの間に何かがいた。
「きゃあああああああ!」
「マジかよ!」
虫かとおもいきや、オモチャのようだ。
「どうして?」
「私にも……わからない」
いっきに背筋が凍る。
「もう、寝るか。風呂を済ませたらな」
「そうですね……」
月冴と栞里は【違和感】を感じていた。
ここから、本当の冒険がはじまろうとしていた。