────パチリ。
目を覚ました。ぼやけた光が眩く照らす。全方位を255の値で満たされ囲まれた無気質な空間▾
重たい身体を引き摺るように起こし、乱れた髪を手で軽く梳くように直す。体位を右方へと向けベッド下に無造作に置かれたスリッパを見る。きっとこれを脱いだ昨日の大馬鹿者は翌日の不愉快を察せないだろう───などと戯言を零す▾
クッション生地の質感を受け入れると足の裏にまで伝わる冷たいタイルを踏み締めた。床には散らばった薬の残骸、ぐちゃぐちゃに散乱している紙切れ、あとは───■■■■だったり?▾
おはよう!今日もいい天気だ!─否、これは嘘だ。窓もなければ何もない空間なのに、何故天気の話を持ち出そうとしたのか心底謎でならない。但し唯一救いがあるとすれば、この固く閉ざされた扉ぐらいだ。押しても引いても自分の本能が“それをするな”と言わんばかりの拒否感のような不快感のような、なんとも言い難い気持ちに切り替わってしまう。
「嫌だ」
まるで出るなと扉に言われてる気さえする───▾
▼データを受信しました
【ノータリン】カルテ更新中…
ここでは主に俺、つまりはノータリンの夢を皆に共有する為の【夢日記の記録】だと思ってほしい。
それじゃあ、今日は疲れたから今日はここまで───
「また、夢の中で会おう」▾
彼は再び荒くれたベッドに沈む様に寝転がった、軋む骨組みと薄っぺらいマットが自分を包み込む。
この時間が一番幸せを感じる、ずっとこのままでいたいとさえ思う。
さて、思案に耽る時間─────▾
今日はどんな夢が見れるんだろうか▾