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目が覚める。重たくなった頭を支え、体を起こす。いつもとは違った0の値で満たされた部屋▾
今日は不思議なぐらいに気分がいい、外へだって行けちゃいそうなぐらいにね───さて、そんな冗談を思った次第だが、実際にノブへ手をかけるとすんなりと音を立てて重たい筈の扉が開く▾
隔離された病室から出れば、普段は廊下に繋がっているはずだ。いやしかしどうだろう、廊下かと思った一室はまるで空間なんて分からない具合に暗闇が永遠と続いているようだ。暗闇の先から”何か”出てくるんじゃないか──?と終始怯えていたが、物音ひとつ感じないどころかそういう気配が一切ない▾
…?こんな所に扉はあっただろうか、他の患者の病室だと言われればそれまでだが。青色の発光ともとれる原色が眩く隙間から漏れている。恐る恐る手を伸ばし開けてみた▾
扉を開けた途端、何とも形容しがたい悪臭が鼻を襲い思わず鼻を摘まむ。黒から青へのグラデーションのような背景に天空には黒く渦巻いた積乱雲のような物体が空を覆っている▾
ふと見上げれば、ゴミ袋?のようなものが浮いており黒渦を覆いかぶさるように埋め尽くしていた▾
「臭いの原因はコレっぽいな…」
魚尾の骨格へと手を触れ、其れを手繰り寄せた。中には液体が溜まっているようで想像していたよりも重かった。周りには羽虫が飛び交い、自分の中での不快感が増すというものだ▾
もぞもぞ…と何やら蠢いてるみたい。ねずみやカラスの類いだと思ったけど、臭い的になんとなく違う気がする▾
何はともあれ中身の想像をしたくないと思った。この一言に尽きる。手に力を入れた訳ではないのに、自然にグッと下へ引力が働いたのか中身が自分の頭へ直撃した▾
悪夢から飛び起きる感覚でガバッと体を起こし、呼吸を荒げる。暫くすれば、それが現実ではないことを気付かせてくれる▾
今日の出来事を忘れないように日記帳に記しておこう───▾