ロゼレムをどうやって殺せばいいかMは考えてみる。
だが、結果はどうやっても「殺せない」になってしまう。
そういったシチュエーションが思い浮かばない。
いや、自分の脳が考えないように勝手に制御してるのだろう。
「…くそ」
おそらくだが、オリビアはこうなる事も想定済みなのだろう。彼女の性格を考えると、この時間も一つのスパイスだ。
…この事は一旦保留だ。考えても何も浮かばないので、Mは「普段通り」過ごす事にした。
期間は設けられてないので一度冷静になろう。Mはそう考えた。
とは言ったものの、オリビアの依頼以降一週間ほど経つが、仕事が一切来ない。
試しにエルヴィーラに電話をかけてみるが、繋がらない。メールも試してみたが結果は同じだった。
あいつらの事だからそういった「何か」をして、嫌でもやらせようとしているのだろう。
腹が立ってくる。
どうにかできないか…と考えながら車を走らせる。
車を近場の駐車場に止め、街をぶらついてみる。
人が多くて正直さっさと抜け出したいが、紛れていれば何かしらの防御になるだろう。
…オリビアはどうやってMを殺そうとするのだろうか?とMはふと疑問に思う。
一週間ほど普段通りの生活を送っていたが、あの二人の姿はどこにもない上に、恐らく気づかれてると思うがビルなどを見てもスナイパーといった存在は見当たらなかった。
他のやり方でやるのだろうか、少し気になる。
ブーブー…
ポケットに入れていたスマホのバイブが鳴り、手に取って着信に出る。相手は予想通りオリビアだ。
「こんにちは、お久しぶり」
「どの口が言うか…」
「ん?何の事かしら?」
少し苛立ちながら対応するMとは対照的に、相変わらず人を馬鹿にするような感じにオリビアは電話口で返答する。
「お前がこっちの着信を全ていじってるんだろ?」
「着信?…あー、レイラが勝手にやってくれたのね。頼りになる部下だわ」
「…。まあいい、お前に一つ聞きたいことがある」
「聞きたいこと?何かしら?」
Mは本題に踏み込む。
オリビアはとぼけているが、恐らく何のことか知っているのだろう。
「…あー。なるほど、そういうことね。それはいろんな方法で出来るわ。遠くからあなたの頭を飛ばしてもいいし、通りすがりの誰かに任せてもいいし、色々出来るわ。じゃあ、後ろを振り返って?」
Mはオリビアの声を聞き、疑問に思いながらも行動する。
「そうそう、それで近くに短髪の男いるでしょ?長めの上着を着てる…」
Mはオリビアの電話口の男を見つけ、凝視する。
短髪の男はMの事を見ると、上着に隠していた銃をMに向けわざとずらして発砲した。
弾丸はMの額をかすめ、後ろを歩いていた通行人に当たり辺りは突然の事に騒然となる。
「これで分かったかしら?」
オリビアはMのスマホのマイクから入ってくる騒然とした声を聞き、クスクスと笑いながら返答する。Mに銃を向けた男は近くにいた人に取り押さえられたが、その最中ニタリと笑っていたのをMは見逃さなかった。
solitario: chapter3.Countdown to Collapse「15.Secrets you don’t want us to know…③」
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