妖魔捜査官 廃校の闇 第二話 肝試し

ACT1-2 夜のフィールドワーク

夏休み期間の夜、時刻は午後十八時

僕と友木さんは捜査対象である【廃校】に来ていた

G中学は心霊スポットとしても有名で幽霊が出るとのウワサ

まぁ、今の季節にはピッタリの納涼企画だ

わざわざ来てくれたのか。怖いなら無理に来なくてもいいのに

いや。月城に何かあったら親御さんに失礼だろあと裕翔(ゆうと)でいいよ

わかった。じゃあ、僕のことはゆなと呼んでくれ

いくらフィールドワークとはいえ心霊スポット

多少の危険は承知の上だ

あれは正直驚いた。ゆなの親があっさり許可してくれるなんて

大学の課題で遅くなってもいいとは言ったが、連絡はしろとうるさいんだよ

ああ……なるほどね

裕翔は僕の親に頭を下げてまで、月城さんをお守りしますと伝えたのだ

僕の親の話はとにかく……今は目の前の廃校だ

懐中電灯を片手に僕は裕翔に提案する

怖いなら僕が先頭に行こうか?

悔しいが……そうしてくれ。ゆな……は平気なのか?

別に?。現れてもいないのに怖がったって仕方ないだろ

裕翔は身震いする

よほどあのハズレくじを引いたのがイヤだったみたいだな

そ、そうだな……なあ、どうして本名で呼ばれたくないんだ?

それは名前の由来にがついているからだ。それ以上は聞くな

おう……悪い

僕たちはさっさと廃校の中へと入る

が、その前に

おい、立ち止まってどうした?

黙祷もくとうをしよう。念のためな

裕翔はこくりと頷き、手を合わせ目を瞑る

死者の領域に入るということは、それなりの覚悟を持っていると思わせるようにするため

ガキの頃から親に厳しく教わった僕は教訓に従う

もういいぞ。入るか

ああ。何も出ないといいが……

当たり前だが、中に入ると真っ暗だ

僕は懐中電灯のスイッチを押して辺りを照らした

窓には所々にヒビがあり、教室の中には机や椅子がバラバラに散乱していた。

床がギシギシと耳障りな音を立てる

おい……ゆな。レポートの目的って確か幽霊がいるかどうかを調べるんだよな

正確にはこの校舎の歴史と言霊でうまれた怪異をうまく説明することだ。まあ、すぐには出てこないだろ

そうだったな……ありがとよ

声が震えている裕翔は正直帰りたくて仕方がないだろう

いるならいると、ここに現れればいいのに

すると左側のドアに、【御札が沢山張られてある】のを見つけた

懐中電灯を近づけると裕翔が悲鳴をあげる

ひっ。おい……マジかよ。やっぱり行くのか?

調べてみないことに変わりはない

僕は扉を開ける

するとそこには【大きな黒い箱】が目の前に置かれていた

うわああああああっ

裕翔の悲鳴は無視して僕は箱を調べた

ACT2 二つの声と裕翔の悲鳴

箱の見た目は蓋に十字のマークが刻まれている

僕はそっと蓋を開けて、中身を確かめる

すると、また裕翔の悲鳴が聞こえた

中身は何もない

いや……遺体があったらマズイだろ

こっちには何もなかった。裕翔?

裕翔は腰をぬかし足が震えている

もしかして、と僕は思った

とりあえず裕翔に話しかけてみる

何かいたのか?

「いま……【白い着物の女】と【黒い燕尾服の男】が……」

は?

「悪い……ゆな……うああああああ!」

裕翔は一目散に逃げ出した

おい! 裕翔、待ってくれ!

すると足元に違和感を感じる

そこには、【一枚の御札銀色のロザリオネックレスが落ちていた

僕はそれを拾う

(ふーん……白い着物の女性と黒い燕尾服の男性ねぇ・・・・・・)

その時背後から強い気配を感じた。

まるで誰かに見られているような感覚が

ねえ

おい

僕の背後で耳元で囁く凛とした声

地の底から這い上がる低い声が同時に囁く

僕は声を無視しながら歩きだす

懐中電灯を片手に周りを照らしながら

あなた、私のこと。本当は視えているのでしょう?

俺は、お前のことをもっと知りたい。どうだ? 悪い話ではない

何も聴こえないし視えるわけない、だって僕は霊感なんてない

二つの笑い声がこの廊下に響き渡る

じゃあ背後を振り返えればいいのだろうか

そんなことしたら後悔するだけだ

両肩と首筋に違和感を感じるな……)

その時、震えている人影を見つけた

なんだ。裕翔じゃないか、帰ったのかと思ったよ

……うわっ⁉ ゆな、か……。急に動けなくなってしまったんだ……

裕翔は僕の背後を見てまた悲鳴をあげる

なんだ? そんなに顔を青ざめるくらい怖いのか?

さすがの僕でも、これ以上騒がれたら面倒なので裕翔を脅す

おい。本当に僕の背後に誰かいるのか? 詳しく教えてくれ

ううっ……悪かったな。ゆなは怖くないのかよ?

怖くない。もしも、幽霊や人ならず者がいるとする。彼らは好きで脅かしたり怖がらせるんじゃない。きっと何か伝えたいと思う。僕の個人的な意見だ

さっきまで怖がっていた裕翔の震えが収まった

強い視線も感じなくなり僕は、ほっと安心する

消えた……。もしかして諦めてくれたのか

それは分からない。なあ、裕翔がよければ今日のフィールドワークはここまでにしようか。君が体調を崩してしまっては元も子もない

裕翔は強く頷き、ゆっくりと立ち上がる

これは逃げではない、対策を考えなかった僕らが悪いのだ

ありがとう。けど……無理してないか?

彼の言葉に僕は何と返事をすればいいか悩んでいた

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幽刻ネオン

はじめまして、趣味は読書(ミステリー、ホラー、怪奇小説)とゲーム(リズム、ノベル)です。最近までネットで小説をかいていました。自閉症、トランスジェンダー持ちではありますが、無理なく仕事ができるように訓練しています。スピリチュアル(占いなど)が好き。 アニメ(ラブライブ)やゲーム実況(にじさんじ)にはまってます。 紡ぎ手として様々なことに挑戦していきたいです。

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