妖魔捜査官 廃校の闇 第四話 幽霊と吸血鬼と僕

ACT3 夢じゃない

お約束を僕は嫌う。

フラグの回収やSAN値がピンチなど心や精神が不安になるのが怖い。

あの時から、僕は動画でシチュエーションボイスを観たことがある。

耳かき、驚かし、ヤンデレ、キス音など……。

台本だと頭の中では理解していても一番怖いのは人間だ。

まるで僕はその中の主人公のようで、眠れなかった。

夢であってほしい、裕翔になんて説明したらいいんだ。

目覚ましのアラームが部屋中に鳴り響き、僕は眠そうに起き上がる

……あ? もう、朝か?

すると両耳から声が聞こえた

おはよう。ゆなちゃん。よく眠れたかしら?

寝ぼけている貴様も中々可愛らしいぞ。目覚ましと共に起きるなんて偉いな

うわあああああああああああ

ベッドから転げ落ちた僕は現実逃避を始める。

高いソプラノ声と低いバス声が、突然ささやいてきたから頭がイカレそうだ。

だが僕の本名を言っていない時点で親ではないことは確かだ

「……っ! おい、僕はお前たち起こされるなんてこれぽっちも思ってないね

まあ。どうしてそんな事を言うの? あなたには元気でいてほしいだけなのに

素直じゃないんだな。きっと昨夜の事で疲れているだけかもしれん

マジでそう、とらえてくれると助かる

考えてほしい幽霊ねぇ、視えてるくせに』。

吸血鬼がお招きいただき感謝する、少しその血を分けてはもらえないだろうかと言ってくるとする

絶対に、ろくなことにならない。

霊の対処法は、玄関前で塩水を口にふくんで飲まないで一分もしないで出す。

家に招かないこと、吸血鬼は魂が不安定なため招かれた家にしか入れない。

それをしなかった……僕も悪いが

あのな、僕は君らと違ってヒマじゃないんだ

へぇ……強がりさんねあなたがどこまで我慢していられるかしら

きっとどこかで後悔するぞ、俺がいなければ今頃助からなかったことを

……どういう意味だ?

しまった、つい話してしまった。

視える視えないの問題じゃない……僕はただ無視をすればいいだけなのに。

おかしいだろ。

僕はゆっくり起き上がり部屋から出る。

早歩きで二人を無視すればいい

寒気と血の匂いが鬱陶しい

けど、裕翔が具合を悪くしてフィールドワークどころじゃなくなった。……参ったな

そうだったの?私はただ……彼とお友達になりたかっただけなのに

ふむ少々遊び過ぎたようだそこは謝る

自覚はあんのかよ……そっち側も大変なんだな

だが待てよ、この二人。実は意外と……

僕はあくびをしながら、二階の階段を降りた

……あーあ。もしかしてずっと憑いてくる気か?

佐久夜とクライヴはうなずく。

どうやら断るそぶりはなさそうだ

はぁ・・・・・・好きにしろ、僕の邪魔だけはするなよ

そうさせてもらうわ!ああ、なんて嬉しいの。私は今とーってもシアワセ

感謝する。俺はこれからお前の血を一滴も残らず味わうぞ。なに、そう怯えるな

僕は大きなため息をつく

こんなことならいっそ黙って無視していれば幸せだったのに。

親になんて説明したらいいかわからない。

凛とした高い声と、ドスのきいた低い声が頭から離れない

だから、イヤだったんだよ。あのくじ運で使い果たしたか……くそっ

さっさとキッチンにむかい朝食の準備にとりかかる。

この時間がムダだとは思わない。

すると僕は、誰かと目があった

お母さん、父さん……これは違うんだ。あっ、おはよう

両親が何もいわずニコリと笑ったのは、僕の気のせいだと思いたい

ACT3-2 お祓いにする? 交渉する? それとも?

朝食を済ませるとお母さんが話しかけてきた

霊子、今日は課題をしないの?

いや。裕翔が体調を崩してな……僕は悪い事をしたみたいだ

父さんが僕の肩に手を優しくおいた

きっと友木君にはみえていたんだろうな。霊子、それはこの【二人の仕業】ではないだろう?

ドキッ、僕は顔を青ざめふるえた。

そうだ忘れていた……この二人は視える側で祓える

意外かもしれないが、僕の母は巫女で父親がエクソシストの末裔

背後にいる佐久夜とクライヴは興味深そうに僕をみる

やめてくれ……視線が強い

は?……二人ともまさか寝ぼけてるんじゃないか

そう? おかしいわね。さっきまで【女の人の幽霊】がいたはずなのに

それを言うなら、【吸血鬼のような男がいたはずだが

気のせいならいいか

僕は、なんて返事したらいいかわからなくなった。

冷や汗が止まらない

あ、忘れていたが僕は二人には逆らえないため真名を許している。

理由はきかないでくれ、面倒だから。

フィールドワークよりも今の状況をなんとかしないといけないと考える

あのさ……言わなきゃダメか?

二人はニコリと笑う

隠し事はダメって言ってるでしょう?」 

ウソはいけないだろどうするんだ? もしそいつらが悪いヤツだったら

いやマジか……もう逃げられないやつだこれぇ

ただでさえ、相手は本物(マジ)

G中学に肝試し感覚で行ったことは百歩譲って悪いと思っているが

(うう……余計なことだけはするなよ)

僕は背後にいる二人を睨みつけながら紹介した
実は……

僕は両親に廃校のG中学で起こった出来事を正直に話した。

二人は黙って聞いていて集中していた

佐久夜という女幽霊

クライヴという男吸血鬼

彼らは音をたてずにソファーに座る

という訳なんだ。ほら、あいさつしろよ

はじめまして♥ 私は氷室佐久夜です。【ゆなちゃんのお友達】ですわ

お招きいただき光栄だ。俺はクライヴ・ドラクル。ゆなに【危害は加えないと約束しよう】ではないか

マジで、どの口が言ってんだか……。

すると二人の顔をよく見て僕は驚いた

(いや、今気がついたのかよ⁉ 反応おっそ!)

これじゃあどっちが悪者か分からない

「・・・・・なるほどね、怨霊じゃければ大丈夫よ

意外としっかりしている【ご友人】で礼儀正しいな。見た目はそのものだが

褒めているのか、ディスっているのかどっちなんだろうか

(いやいや……まてよ?)

僕はあることに気がつく

おい⁉ さっきまで僕にたいしては恐ろしい姿でいたのに。いつの間にそんな姿を

佐久夜は着物から白いワンピース、クライヴは燕尾服から黒のジャケット

あらあなたと仲良くするくらいなら、着物ではまずいでしょう?

現代的な私服も悪くない。溶け込むならこれが一番最適だ

悪趣味なのか、馬鹿にしてんのか……

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幽刻ネオン

はじめまして、趣味は読書(ミステリー、ホラー、怪奇小説)とゲーム(リズム、ノベル)です。最近までネットで小説をかいていました。自閉症、トランスジェンダー持ちではありますが、無理なく仕事ができるように訓練しています。スピリチュアル(占いなど)が好き。 アニメ(ラブライブ)やゲーム実況(にじさんじ)にはまってます。 紡ぎ手として様々なことに挑戦していきたいです。

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