妖魔捜査官 廃校の闇 第五話 専門家は心霊捜査官

ACT4 作戦会議?

数分後。

僕がスマホを見ると、沢山の通知がきていた。

おい……裕翔からだ。

そういえば級友の裕翔のことを少し言い過ぎた、と罪悪感でいっぱいだった。

フィールドワークなんて、お遊び感覚でやってしまったからバチが当たったのだろう。

チャットで話しても裕翔の具合は良くならない。

別に熱はないのに、なぜか疲れているのだ。

おそらく、バイトのし過ぎだろう。

フラストレーションが溜まっていたのだ。

チャットの文面には、短期バイトをやりすぎて身体が悲鳴をあげたらしい

悪い。ゆな。俺、明後日には元気になっていると思うから……】

僕はこう返した

あんまり貯めておくのも身体に毒だ僕にとり憑いていたふたりのことは任せろムリだけはするな

チャットに、剣士のありがとうのスタンプがつく。

裕翔はきっと、自分のせいで僕に佐久夜とクライヴがとり憑いたんじゃないかと思い込んでいる

まあ、相手は……女幽霊()とヴァンパイア()

驚くのも無理もない。

ちなみに、裕翔にはふたりのことを浮遊霊だと伝えた。

まさか本物の怪異や怪物などとは言えんだろう

スマホをしまい、僕は少し出かけようと支度した

あら?どこにいくの。ゆなちゃん

少し散歩する

具体的には?

……どこだっていいだろう

無愛想に言って、僕は部屋から出た

とにかく僕はこのムカつく状況から脱出したいのだ。

お祓いができなければ、倒すしかない。

しかしその半分、一人でなんでもかんでもするのはリスクがあると思った

行ってきます

親は既に買い物に向かい僕は、ヒマつぶしをする。

どう考えてもしかたない

そうだ。最近、美味しい珈琲が売っているカフェのウワサを聞いたな。行ってみるか

それはいいアイディアね。とても落ち着く場所になりそうだわ

うむ。ゆなが何を頼むのか楽しみだ

そういえば、佐久夜は食事ができないな。

クライヴは一応、人間の食事もたしなむとも聞いたことがある

見るのはいいが、余計なことだけはするなよ。他人を脅かしたりとかな

ええ、約束するわ。だって私は貴女にしか視えないんですもの

そんな野蛮な行動を取るわけがない。ゆな一人で充分だ

僕は大きなため息をついた

ACT4-2 心霊捜査官あらわる

幸い僕が歩いても、周りの人は見向きもしない。

もし視える人が一人でもいたら、顔を青ざめるだろうな

足音を立てない佐久夜とクライヴ。

それはそうか、だって浮いているから

(でもおかしいな。僕の背後にいるのはマジでヤバいヤツだ。あれ?)

封印を解いたのは僕だ

イヤな予感がする

御札(おふだ)を持ち、ロザリオネックレスを首にかける

僕はその予感当たらないことを願い、目的地のカフェに向かう。

オシャレでレトロな感じで、欧米風。

看板の文字が目に入ってきた

よし、ここで忘れよう。

珈琲でも飲めば、ふたりも大人しくなるだろう。

カランとベルが鳴り僕は中へと入る

いらっしゃいませ

一名、テーブル席でお願いします

……?かしこまりました

しかし、クライヴを視た瞬間何か言いかけようとしたが

すみません、二名様……

「【一名】ですお願いします

ニコニコと僕が笑うと、マスターは首をかしげる。

お客も少なく、クラシック音楽が耳に残る。

よし、店内の雰囲気は最高だ

僕は、テーブル席の右側に座る

ご注文はどうされますか?

珈琲と……そうだな。パンケーキをひとつ

かしこまりました

その時だった

すみません。私もその席でお願いしてもよろしいでしょうか?

僕は声の主に驚いた

制服姿に警官帽を被っている

まるでそれは、美少女そのものだ

失礼ですが、お客様こちらは……

私の友人なんです。待たせたわね

(はあ?マジかよ……)

僕は思わずこくり、とうなずく

(しまった!あまりにも可愛すぎてよそ見していた……)

失礼しました。どうぞ。ご注文がお決まりましたらお呼びください

すみません、ありがとうございます

ウエイターはお辞儀をしている

きっと警察官(彼女)が休み時間だから緊張してるのだろう

彼女は、にこりと微笑み左側に座る。

あの……僕は

失礼。私、こういう者でして

黄色い小さなカード、名刺だろうか。

そこには赤い文字で名前が書かれていた

 黄昏リリカ

上に書いてある心霊捜査官の文字に僕は驚いた

珍しい名前ですね。(小声)はじめまして……僕は月城霊子です

思わず本名で喋ってしまったが、仕方ない

黄昏リリカよ。あ、私は高校生じゃないから

……失礼しました。で? 僕に何か用でしょうか

リリカさんは僕の背後を見てきっぱり言った

あなたに【憑いているモノ】に、興味があってね。お話させていただきますわ

は?

まさか、この人は視える人なのか

心霊捜査官と書かれている以上霊感はあるだろう

その前に。すみません!ベイクドチーズケーキとミルクティーをお願いします

よく声が通る、リリカさん

ウエイターはかしこまりましたと急いで準備した

ちょっと待ってください!これって……

いきなりでごめんなさい。お代は私のおごりにしてあげるから

……はぁ

僕はとんでもない人に出会ってしまったのだ……。

ACT4-3 君は霊感青年に?

美味しいわ。ずっとファイルの整理をしていたから糖分不足だったの

リリカさんが、チーズケーキを幸せそうに食べている。

最初、見た感じ気の強い人なのだろうかと思ったが意外と可愛らしい一面があるようだ

あの、お聞きしたいのですが。僕の背後、何かいるんですか?

とぼけないで。あなたが一番、【お二人のこと知ってるのでしょう?

佐久夜とクライヴのことだろう

マジっすか

ええ。大マジよ

リリカさんは、隠し事が嫌いなのだろう。

逆らったらダメなタイプだ、僕にはわかる

それで・・・・・・心霊捜査官って、どんなお仕事をするのですか?

幽霊、妖、魔、怪異を捜査している特殊な仕事まぁ、簡単に言ってしまえば公の場では絶対にムリな心霊関係の捜査をしているの。探偵に少し近いかもね

たしかに普通の警察なら事件や事故専門だ

こんな特殊な捜査をするなんて、なんだか大変そうだ

それなら、どうして僕に話しかけたのですか?

私は幼い頃から、色んなモノが視える子だったの。だからイヤでも憑いている者をみるとね。話しかけたくなるの

だから普通の人ではなかったのか。

けれど詳しく知りたくなってきた、好奇心が。

裕翔の件のことも少しは、解決するかもしれない。

それに……。

そうだったんですね。僕、最近視えるようになったので

なるほど。だったらあなたはもう霊感少女ね

あっ

ミルクティーを少し飲むと、リリカさんは何かを納得した顔をした。

おかしいな、ふたりの様子が少し変だ。

なんだか……おとなしい。

僕は全てを察した

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幽刻ネオン

はじめまして、趣味は読書(ミステリー、ホラー、怪奇小説)とゲーム(リズム、ノベル)です。最近までネットで小説をかいていました。自閉症、トランスジェンダー持ちではありますが、無理なく仕事ができるように訓練しています。スピリチュアル(占いなど)が好き。 アニメ(ラブライブ)やゲーム実況(にじさんじ)にはまってます。 紡ぎ手として様々なことに挑戦していきたいです。

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