妖魔捜査官 廃校の闇 第七話 予感と信頼

ACT6 裕翔の異変

霊子はこれで、理解者になった立派な霊感青年よ。はい、解決

マジかよ!おいおい……勘弁してくれ

騙されたわけでもないのに、なんか悔しい

もしかして自分は思った以上に馬鹿なのか?

真面目過ぎて前がみえないと、よく言われるがそんなことはない

ったく……祓えるかと思っていたのに

あのね。私は巫女でもエクソシストでもない。祓う専門ならお金が必要だけれど?

諦めなさい。私と出会ったことを素直に喜んで

だから言っただろう?お前は先を行き過ぎる。まぁそんなところもカワイイが

グサグサと正論を言われる。

僕は髪をくしゃくしゃして、叫んでしまった

ちくしょう、悔しいっ!

リリカさんは、この回答だと見透かしていたかのようにほくそ笑む。

けれど……ふたりのことはやっぱり解決できなかったのか。

ムリじゃなくて……か

自分が廃校のモノを持ってきたから。バチが当たるのは当然よ。受け入れなさい

僕は言い返せずただ、ため息をつき情けない返事をした

はい……マジで、すいません

すると、スマホからピコンと通知の音が鳴った。

なんだろうと、ポケットから取り出す。

裕翔からのチャットだった

助けてくれ……ゆな。俺、なんか身体が重いんだ

今朝起きたら、俺の右足に白い手がつかんでいたんだ

俺……なんか悪いことしたのか?なぁ、助けてくれよ!

深刻な内容に僕は絶句した。

裕翔が僕の知らないところで、怪現象が起きていることを

どうしたの?

友人の裕翔から。白い手って……なんすかね?

だったら、話してみたら?何か分かるかもよ

めずらしく、佐久夜が提案する

俺たちの他に先客がいるのか、はたまた……霊だろうか

クライヴは興味深そうにチャットの文字をみる。

するとまた、ピコンと通知がきた。

写真が送られてきた

なんと写っていたのは裕翔の背後に白いワンピース姿の少女がいたのだ

僕は急いでチャットに返事する

任せろ。裕翔を助けるからな!少し待っていろ。自宅はどこだ?

十秒もしない内に、既読がつく

【……ここの住宅街。そこの一軒家にいる

赤文字で打ってきたその文字に僕は、驚いた。

リリカさんは、そっと僕に囁く

霊感青年として、あなたは彼を助けるべき。悪いけれど、私は次の仕事があるからここまでよ

でも……

ただ、ひとつだけ

リリカさんが妖しくほほえみながら言った

佐久夜とクライヴの力も、借りなきゃね?

ACT6-2 三人で

裕翔の自宅に向かうまで僕は、マップアプリをうまく使いこなし道端を歩いていた。

佐久夜とクライヴは人の姿になり隣を歩く

あの人の言葉を信じていいのか?僕は少し不安なんだが

私は、裕翔くんを怖がらせた。だから罪滅ぼしがしたいの

同意だ。彼にとり憑く霊も俺が始末してやろう

ふたりは、裕翔を驚かせたことに対して反省している。

確かに一番最初にビビって叫んだのは、裕翔だ。

きっと不安でどうしようもなく、僕にも罪悪感があるのだろう

別に。お前たちは気にしなくていい。助けるのは僕だから

しかし、それを遮るふたり

なんだ?譲れない事でもあるのか?

ゆなちゃん。私はね、あなたを信じたいの

信じる?いったい何を

佐久夜の凛とした目が真剣な眼差しに変わる

あなたを一目見たとき。思ったの。この子はきっとどんなことでも信じてくれる人間だって

話を聞いていた、クライヴの両手が僕の肩に触れる

俺も最初はお前の血が目当てで、襲おうとしたが。お前の強い眼差しにひかれてやめた。だから、こいつなら信じてもいいかと思ったのだよ

そんな風に思ってくれたなんて……僕は少し不安が消えた。

だったら、信じていいのかもしれない。

言い過ぎたかもしれない部分もあった。

僕は、佐久夜とクライヴがウソを言っているようには思えなかった

……正直、見直した。僕はただの最恐の怪異なんじゃないかって

少し強引すぎたわね。ごめんなさい。だって、純粋なゆなちゃんが好きだから

友人を助けたいのだろう?ならば遠慮はいらない。俺も力になろう

さっき、キスと吸血しておいて……今更か。

けど、僕は悪い気はしなかった

僕。リリカさんが言いたかったこと。わかったかもしれない

え?

なんだ?

僕は、好かれているのではなく

このふたりさびしかったから受け入れたのかもしれない

口では絶対に言わないぞ

なんでもない、佐久夜、クライヴ。元の姿に戻っていいよ

二人が驚いている、そんな反応にもなるはずだ

僕は、佐久夜とクライヴを信じるよ。【そのままのふたり】が好きだから

すると、ふたりはの姿に戻り僕を抱きしめた

ありがとう。ゆなちゃん

感謝する。ゆな

二度は、言わん!ほら、ついた。行くぞ

僕、いや僕たちは裕翔の自宅へと捜査することにした

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幽刻ネオン

はじめまして、趣味は読書(ミステリー、ホラー、怪奇小説)とゲーム(リズム、ノベル)です。最近までネットで小説をかいていました。自閉症、トランスジェンダー持ちではありますが、無理なく仕事ができるように訓練しています。スピリチュアル(占いなど)が好き。 アニメ(ラブライブ)やゲーム実況(にじさんじ)にはまってます。 紡ぎ手として様々なことに挑戦していきたいです。

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