妖魔捜査官 忘れ去られた幽霊屋敷 第六話 おかしな異変

ACT8 夢の中でも好かれやすい体質?

ここは、どこだろう。

幽霊屋敷の場所とそっくりだ。

しかも、私はあと少しでゴールできるところまで来た

けれどこれって、たしか……人形から逃げる場面だよね。

すると頭上から低いドスのきいた声がきこえてきた

大丈夫か?

それと同時に大きな手がせまる

やば

デジャヴだ、こんなの。

私は同じことを繰り返したくない。

そうだ、言い返そう。

だ、大丈夫よ。心配してくれてありがとう

すると声の主は、大きな足音と共に現れた。

ボロボロの茶色いコートにダメージジーンズ

しかもその男は高身長で私より大きい。

でも、顔には……

え?

ケガしていないか?俺が見てやろう

私は無意識に身体が動いていた。

走っていた、これは逃げじゃない

はあっ、はあっ、はあっ……

待ってくれ!早まるな

頭では無視したいとわかっていても、身体がいうことを効かないのなら話は別。

これが幽霊屋敷に入っていたプレイヤーたちの気持ちだろうか。

ボスにしては、上出来すぎる

奴が本気で私を追いかけてくる

あっ!

おもわず転んでしまった。

男が立ち止まり、私のほうに大きな手を向ける

まさか⁉ 握り潰される?

しかし、男は私を掴んだはいいものの優しく頭を撫でていた

お前が無事で良かった。俺は安心したよ

なんだか、眠くなり……。

目が覚めるとそこは、自分のベッドの上だった

ゆ、夢か……驚いた

私は、本当にとり憑かれていたのだ。

らしくない、こんなのは夢にすぎない。

冷や汗が止まらない。

もしかして、夢の中にいた男は……

……ヴォルフ?

私は、ベッドに再度横になり天井を見上げる。

悔しい……どうしてこんなに自分が情けないんだろう。

真凛が言った『とり憑かれる』、これはきっと。

後悔する、そう言いたかったのだろう。

ふわふわと浮いている、ジェジュン。

大きな身体で私を覗き込む、ヴォルフ。

ぐぬぬ……眠れないのは言い訳にしよう

ACT8-2 私次第?

翌日の午前十時半。

私は急いで、ゆなさんがいる待ち合わせ場所の公園へと向かう

本当に最悪だ……遅刻とか一番おもんないし!

眠れたのはいいものの、兄弟に叩き起こされてどんちゃん騒ぎ。

ジェジュンとヴォルフは背後にいる

もし視えている人がいるなら少女の霊男性の霊だと思われる

(でも、誰もいないからよし!)

そして目的地に向かう。

相変わらずイケメンのゆな先輩がいた

す、すみません……お待たせしました

おはよう。顔色が良くないぞ?どしたの

私はこの質問にどう答えたらいいか分からない

とにかく誤魔化そう

あー、実は馬鹿兄弟に酷い目にあって……逃げ切りました。あはは

災難だったな

恥ずかしくなってきた。

自分が悪いのもあるけど

よし、行こうか

はいっ

先輩とはぐれないように、前を向いて歩く。

ここにしたのは、目的地に近いからだ

そうなんですね

いったいどんな場所なのだろうか。

ビルかな、それとも警察署らしい場所か……。

想像を膨らませると先輩が私の右肩を叩いた

ついたぞ。ここだ

え……?一軒家?

自分が思っていたのとは違っていた。

まるでお金持ちが住むような家だから

気をつけろ。彼女は勘がするどいぞ。ウソは通用はしないから用心しろよ

は、はい

心霊捜査官黄昏リリカさん

私に【とり憑いている】ふたりをなんとかしてくれる。

だけど、先輩がさっき言った発言がもし本当だとしたら。

私は正直に応えなければいけない、相手はプロだ。

深呼吸をして、精神を整える

ゆなさん、覚悟はできました。案内してください

いいだろう。ついてこい

ドアを三回ノックする……いやピンポンベルを押す先輩。

先輩には一回ここで、お世話になっているんだ。

下手なことは絶対に言えない

はぁ月城ゆな依頼者を連れてきました

私はごくりとつばを飲み込んだ。

すると十秒もしない内に勝手にドアが開いた

入るぞ

はいっ

背後でジェジュンとヴォルフが急に顔色を変えた。

おかしいな、さっきから喋らないのはどうしてだろう。

もしかして……。

私は先輩の背後をそっと見た

ひっ

白い着物を着た美女と、燕尾服に黒いマントを身にまとった美男が私を睨んでいた

私は、ジェジュンとヴォルフが黙っている理由がなんとなくわかった気がした

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幽刻ネオン

はじめまして、趣味は読書(ミステリー、ホラー、怪奇小説)とゲーム(リズム、ノベル)です。最近までネットで小説をかいていました。自閉症、トランスジェンダー持ちではありますが、無理なく仕事ができるように訓練しています。スピリチュアル(占いなど)が好き。 アニメ(ラブライブ)やゲーム実況(にじさんじ)にはまってます。 紡ぎ手として様々なことに挑戦していきたいです。

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