心霊捜査官 禁断のファイル EP3,娘と父のバディ

ACT6 運命の子

結局、珠莉を自宅まで送った

叔父さんがあらわれて驚いたが、私とリベリオンがうまく交渉して安心させた

「……さすが、手慣れているわね

当然だ。俺は魔王だからこれくらいは楽勝だ。しかし、優しい父親だったな

お母様が天国に逝ったから、お父様が珠莉を守っているのよ

だからか。子供というものはいいものだ

もしかすると、リベリオンは人間の子供が好きなのかもしれない

だけど、そこまで鬼かと言われたら……違う気がする

そういえば、リベリオンはどうして私と契約したの?

おや、聞きたくなったか。リリカの家で話そう

私はリベリオンを招き入れ、帰宅する

そう、吸血鬼は初めての家には入れないのだ

鏡に写らないのも、魂が不安定だから

……あの、私の血は美味しかったの?

ああ。とても美味だった。しばらくは【この血をうまく有効活用】しよう

でも、代償は?

珠莉君の問題が解決したら、もらおう

ぶるっと身体がふるえた、身体は正直だ

「……それで、ここに来た理由は?

そうだったな。話そう……

リベリオンは優雅にイスに座り、私を見つめながら語りだした

きっかけは、魔界で本を読んでいた時だ。【未来予知ができる人間の子が現世にあらわれた】。それを知った俺は急いで玉座に向かい王たちと話をした。前提として人間の女と魔族の男が付き合って生まれた子が見つかったという。それは伝説の吸血鬼、ヴォクシーだ。彼は日本人の女と心を語り合い、彼女の超能力がすさまじいと。俺はそれに興味があり、是非ともヴォクシーと語り合いたいと思った。だが、現実はうまくいかない。その子供は決して魔界に連れて行ってはいけないと。なぜなら、成長して能力を悪しき方向へ導けば大変なことになると。俺はヴォクシーと出会うことはできたが、その変わり時期魔王は変更しろと言われてね。だから、その子供を探すために人間界へと来た。帰ってくるなと言われたが。珠莉君にとり憑いたのは、彼女の不幸から身を守るために【あえて】な』

私は、リベリオンがとても重大な事を抱えてここに来たということは理解できた

でも、その子どもというのはもしかして……

「……珠莉ではないのよね?

もちろんだ。彼女は純粋な人間だったからな

あなたも大変だったのね

優しいな、リリカは

私のイメージしていた魔王とは違っていた

けど、珠莉を守ってくれたことには少し感謝しなければ

口では絶対に、言わないけど

ACT7:少女の破滅を止めるために

夕食を食べ終え、安心する私。

リベリオンは赤ワインをたしなんでいる

なんでも、これ以上私から血を摂取しないようにするためだとか

「……やっぱり、彼女が心配だわ

あせる事はないだろう。まずは作戦を立てなければいけないぞ

やっぱり父親がいるとこんな感じになるんだな

優しいお母さんも好きだけど、なぜか冷静になれる

そうね。彼女の思念が少し見えてきたの……イヤでも

是非とも聞かせてくれ

立場があまりにも違いすぎる。

リベリオンには本音が言えそう。

だったら……

言ってもいいかもしれないわね、いったい何がみえたか

私が語りだすと、リベリオンは興味深そうに聞いていた

そんな面白い話でもないのよ。実は珠莉がおかしくなったのは彼女があの言葉を発したから。そう……エンジェル様。【絶対にやってはいけない黒魔術】。こっくりさんも同じなの。動物霊や怪異を呼び出してしまう。幼馴染だから占いしか信じないと思っていたけど。まさか、クラスの子たちとやっていたなんて。何を言っていたかは知らないけど。今日の登校中も、ぶつぶつ何かつぶやいて。【幽霊を視たって。そうしたら残留思念がみえた。予知夢かなとは思ったけど、助けないと危険だって思って……。それくらいよ】

リベリオンは何も責めたりはせず、私の頭を優しく撫でた

急になに?……どうしたの

リリカは本当に優しいのだな。危険を知っていてまで対策を試みる。実に素晴らしい

反応に困ってしまう

その時、脳内に電流が走る

幽霊を視た?……それって?

『【本人に聞いてみたら】どうだ?さすがのリリカでもそこまで霊視できないだろう

魔王の言う通りだ、でも今は珠莉は寝ているはず

かけてもいいのだろうか……

胸騒ぎがする、自分を信じられないなんて

悔しいけれど……

ACT7-2 呼び出した怪異

一方、一人自分の部屋のベッドで寝ていた珠莉。

はっとして、目が覚める。

深くため息をつく。

リリカちゃん……?あれ、わたしさっきまで保健室で寝ていたのに

何かとても大事なことを忘れている気がする。

さっきまであんなに苦しかったのに。

なんで今はなんともないのだろうか。

時計を見ると時刻は午後十八時半。

黄昏時の前触れだ。

すると、コンコンと窓から音が鳴る

ひっ…! だ、誰?

恐る恐る、窓際を見る。

そこには、学校の窓ガラスに映っていた青白い着物姿の青年がいた。

悲鳴をあげることもできない、言葉が出ない。

青年が部屋に入り足音を立てずに珠莉に近づいてくる

身体が思うように動かない、まるで金縛りにあったみたいに。

冷や汗が止まらない

なんで……あの時の彼が?

近くまで来ると青年は話した

……あの時、俺を呼んでくれたのは君だよな

うなずくことしかできないのが悔しかった

でも今なら話せる気がする。

……あの・・・・・・呼び出したのは……謝りますから……

珠莉、俺は君を助けてあげる

突然すぎて、頭が追いつかない

自分の名前も知ってるなんて

青年は切なく微笑む

な……なに

心配しないでくれ、彼女たちはもう理想の相手に恵まれた。俺は迅(ジン)

迅と呼ばれた彼は、ゆっくりと珠莉に近づく。

何が目的なのか、それとも呼び出したことに怒っているのか。

だから、俺と付き合って。全部、全部見ていたから

珠莉は悲鳴をあげ、そのまま気を失った。

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幽刻ネオン

はじめまして、趣味は読書(ミステリー、ホラー、怪奇小説)とゲーム(リズム、ノベル)です。最近までネットで小説をかいていました。自閉症、トランスジェンダー持ちではありますが、無理なく仕事ができるように訓練しています。スピリチュアル(占いなど)が好き。 アニメ(ラブライブ)やゲーム実況(にじさんじ)にはまってます。 紡ぎ手として様々なことに挑戦していきたいです。

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