第四章 「恋する茉莉華」
茉莉華とノエルが新しい学校に転校してから一週間が経ち、学校生活にも慣れた。茉莉華もクラスメイトの優しさに安心し、前より性格も明るくなった。一週間が経った後も茉莉華は新しいクラスメイトの友達と楽しく話していた。
「ねぇ、これ見て見て!駅の近くに新しいスイーツ屋さんができたんだって!」と言って、ギャルのような女の子がスマホを見せた。
「あ!それ、SNSで見たことある!確か、恋の味のような甘酸っぱい味がするピンク色のケーキだよね!上には、キューピットの飾りがついているの!」
「恋の味・・・・?スイーツ屋さん?」茉莉華は話題についていけず、きょとんとしながら聞いていた。食堂で一緒に食べてくれた智香ちゃんが茉莉華に話題のスイーツの話を教えてあげた。
「うんうん!今ね、李衣紗とSNSで超バズってる駅前のスイーツ屋さんの人気のケーキの写真を見てたの!茉莉華も見てみ!」と言って、茉莉華にケーキの写真を見せた。
「これが、今流行ってるスイーツなんだぁ!見た目もピンクで可愛いし、映えるね!」
「それな!まりかっちわかってるぅ~!このケーキは「恋のキューピット」といって、若い人達に大人気なんだ~!味は恋みたいな甘酸っぱい苺&ベリー味なんだって!」と茉莉華は目を輝かせて、3人で話が盛り上がった。

「へぇ~。恋の味が甘酸っぱい苺味かぁ~・・・。やっぱり、恋って甘酸っぱいのかな~・・・。まだ彼氏いないけど・・・。」
「え、まぢ⁉ともともは、久彦といつも一緒なのに⁉」と話は段々恋バナになっていった。智香は李衣紗の発言に動揺している。
「ひ、久彦が私の彼氏⁉っていうか、一緒にいたのは幼馴染だったから!変な誤解を作らないで!」智香は顔が真っ赤になった。
「そっかそっか、ごめんごめん!それより、まりかっちはすきぴはいるの?」と今度は李衣紗が茉莉華に聞いてきた。
「すきぴ・・・?・・・っあっ!好きな人の事か!うーん・・・。まだいないかなぁ。」と言いながら、クラスメイトの男子と楽しく会話をしているノエルの方をじーっと見つめていた。
「まりかっち?どしたん?・・・・。もしかして、まりかっちのすきぴって、イケメンシャチのノエル?」
「ぅえっ⁉わ、私がノエルの事が好き⁉いやいやいやいや、それは決してないって!」と茉莉華は、赤面になりながら言った。
「そっかぁ~。茉莉華はノエル君のことが好きなんだね~♡カッコいいもんね♡ノエル君。」
「も、もう!智香ちゃんまでからかわないでよっ!」
「まりかっちすぐ感情が顔に出るから、わかりやすい!」と言って、話が盛り上がった。その話を離れたところから聞いたノエルは茉莉華をじーっと見つめた。
「・・・。茉莉華が俺のことを好きっ・・・・⁉・・・っ!う、嘘だろ⁉」ノエルも顔が赤くなり、茉莉華の思いに衝撃を受けた。
「?どうした?ノエル?茉莉華ばかりじっーと見て。」
「もしかしてお前~w茉莉華のことが好きなのかぁ~?ぷぷっw」久彦達の冷やかしに、さらに顔が赤くなった。
「・・・だぁぁぁぁぁっ!うるせぇ!俺は別に、茉莉華のことなんか・・・!って、それはもういいからもう少しで5時間目始まるぞ!」と赤面したノエルが言うと、5時間目の授業が始まるチャイムが鳴り、席について受けた。

ー水族館ー
学校が終わり、二人は水族館に帰った。ノエルはシャチの姿に戻り、来客を楽しませていた。茉莉華は飼育員の仕事をしながら、学校で話した恋バナのことで頭がいっぱいだった。
「恋が叶うケーキか・・・・。でも彼氏いないしな・・・・。っていうか、私、不細工だし可愛くないし、絶対無理だよ・・・。ノエルは、私のことどう思っているのかな・・・・。絶対美人で可愛い子が好きだよね・・・。」と一人でブツブツ言っていると、ノエルが聞きながら茉莉華を見つめていた。
「茉莉華・・・・。」
ノエルも休み時間の学校でクラスメイトに「茉莉華のことが好きか?」と聞かれたことが気になっていた。年頃ならそうだろう。茉莉華もノエルも中学生。思春期で異性が気になる頃だ。
それでも二人は一生懸命水族館で仕事を頑張り、その後の勉強も頑張った。夜中の12時になり、ノエルはシャチの姿に戻り、水槽で眠り、茉莉華はベットに入ったが、茉莉華は気になって眠れず起きていた。
「私がノエルのこと好きかぁ・・・・。でも、ノエルとは兄弟のような友達のような存在だしな・・・・。元の種族はシャチなのに、何でこんなに心臓がドキドキしているんだろう・・・。っ・・・、もしかして、これが李衣紗ちゃんが言ってた「恋」ってやつ・・・⁉」と足をバタバタさせていた。
「ヤバッ・・・。こんな時間だし、気にしすぎないで寝よう・・・。」茉莉華はあくびをし、そういって眠りについた。

ー翌日ー
いつも通り早起きし、制服を着て支度をし、下の階に降りて和也叔父さん達と朝食を食べていた。和也さんの奥さん特製の和食ご飯だった。和也さんの子供達も下に降りてきて、一緒に食べた。
「さぁ、沢山食べてエネルギー満タンにしないとね!茉莉華ちゃんも遠慮しなくていいからね。」
「はい。ありがとうございます。叔母さん。」と茉莉華はハリのない声で叔母さんに礼を言った。そう。茉莉華はまだノエルのことが気になっていた。叔母さんは、茉莉華の様子を見て首を傾げた。
「あら、どうしたの?いつもより元気がないわね。何かあったの?」
「なんでもないですよ。あっ、早くご飯食べて、ノエルを迎えに行かなきゃ。」と言い誤魔化して朝食を食べ続けた。
朝食を食べ、身支度をした後、茉莉華は家のすぐ隣にある水族館に行って、ノエルを迎えに行った。ノエルもご飯を食べたり、身支度をした。
二人で学校に歩いて登校したが出会ったばかりの頃より、気まずくなっていた。何も話さず会話もないまま学校に着き、友達と話したり授業を受けたりした。
「李衣紗ちゃぁ~ん!智香ちゃぁ~ん!どおしよぉ~!ノエルにどうしたら告白できるのかなぁ~!気になって眠れなかった~!」と言って、二人に抱きついた。
「うわぁっ⁉まりかっち急に抱きついてきてどうしたん⁉」
「茉莉華ちゃん、急にどうしたの⁉」と智香と李衣紗は驚いた。茉莉華はどうすればいいか悩みすぎて涙目になっていた。

「日々を過ごすうちにノエルの事が気になって、で頭がいっぱいで、一週間たった今になってだんだん好きになっちゃって・・・!本当は告白したいけど、ちゃんと伝わるか不安だし、元はシャチという海の生き物だったから将来、親戚や友達などに軽蔑されて白い目で見られるのが怖いか心配で心配で・・・。」と茉莉華は不安ながら二人に相談した。
「そっか、色々と不安なんだね。告白っていざとなると緊張しちゃうもんね。言葉詰まっちゃうし・・・・。」
「確かにノエル、人の姿とはいえシャチだからなぁ~。親戚などに軽蔑されて絶縁されるのも嫌だから不安になる気持ちわかるわぁ~。」と李衣紗も智香も納得しながら考えていた。
「そうだよね・・・・。シャチと恋人なんて変・・・・、だよね・・・。」と茉莉華が俯きにしゅんとなると李衣紗が口を開いて言った。
「でもさ、恋愛なんて好きな人や物とかに制限とかなくね?性別とかさ。動物との恋愛は初めて聞くけど、ノエルは人の姿にもなれる不思議なシャチだから人間の男とあまり変わらないかも。だから周りの目は気にしないで告白しちゃえ!もし、軽蔑する奴がいたらウチがぶっ飛ばす!」李衣紗のアドバイスに智香も頷いて納得していた。
「そうだよ!茉莉華!周りがどう思うかは気にしなくていい!好きなら好きって自分の気持ちに素直になってもいいんだよ!ノエル君結構モテるからライバルが沢山いるかもね・・・・。告白するなら早めの方がいいかも!」
「自分の気持ちに正直に・・・・か・・・・。・・・っうん!二人共、アドバイスありがとう!少し自信ついたかも!私、今日ノエルを放課後に空き教室に呼び出してみる!」と茉莉華は李衣紗と智香の二人にお礼を言った。
「いえいえ!青春も人生だからね!あ、あと、ラッキーな事に今日は空き教室誰も使わないから、卓球部とかにバレることないから、ノエルとロマンス楽しんできな☆」と李衣紗は、茉莉華を励ますように肩をポンポンと優しく叩いた。
「うん!」
そして授業を終え放課後になり、茉莉華はノエルを呼び、誰もいない空き教室に移動した。ノエルは「?」としながら茉莉華の後ろについていった。少し歩き、2階の空き教室に着いた。
「茉莉華、こんな誰もいないところで話したい事があるのか?」
「・・・。うん・・・。とても大事な話・・・。」とノエルの言葉に茉莉華は少し顔を逸らしながら頷いた。それと同時に空き教室のドアを閉めた。その後、何分間かの間、緘黙が続いた。
「大事な話って・・・?」
「・・・・。実はね・・・・、私・・・・、ノエル・・・・の事がっ・・・・!大っ・・・・好き・・・です・・・!私と恋人に・・・、なってくれませんかっ・・・!!」と茉莉華は緊張して震えながらノエルに告白をした。ノエルは突然の告白に驚き、顔が真っ赤になった。

「茉莉華・・・・!・・・。っ・・・!何だよ・・・。大事な話って、告白のことかよ・・・。まさか、人間から恋人になれと言われるとは思わなかったぜ・・・。」
「びっくりしたよね・・・。急にごめん・・・。ノエル・・・。ノエルと初めて出会った時から、好きが抑えきれなかったの・・・・。和也叔父さんやノエルが私のことを家族として、仲間として受け入れてくれたことが嬉しくて・・・・!」と茉莉華は、ノエルへの思いで胸が締め付けられるくらい今までの感謝を伝えた。茉莉華はノエルの制服の裾にぎゅっとしがみ付いた。するとノエルも口を開けて、茉莉華に思いを伝えた。
「俺も実はな・・・、茉莉華の事が・・・、好きなんだ・・・・。出会った時からずっと・・・。茉莉華を初めて見た瞬間、守りたいと思ったから。あと、人間としての楽しさを教えてくれたのもお前だからな・・・。俺も茉莉華の恋人になって、男として守っていきたい。永遠に・・・。」とノエルは告白しながら、茉莉華を抱きしめた。
「ノエル温かい・・・・。体温が・・・・。」
「お前のせいで体温が上がったからな・・・・。」二人の空間に夕方の風が空いた窓のカーテンに差し掛かって揺れる。まるで二人の成立を祝うかのように。

「さて、もう夕方だし、帰るか。仕事もあるしな。」
「うん!でも普通じゃ面白くないから、恋人らしく手を繋いで帰りたいな。」と茉莉華はノエルに聞こえるようにボソッと喋った。
「そうだな。水族館まで手を繋いで帰るか。初の恋人繋ぎで♡」ノエルはニコッと笑って茉莉華と手を繋いで学校を出て帰った。
二人の甘酸っぱい恋はまだ始まったばかり。永遠に共に支えあっていきたいと思いながら下校するのであった。

ー続くー