前回のあらすじ
人魚のお嬢さんの来訪により、海の魔女は振りまわされているようです。
「──で、今度は何を聞きに?」
本題を聞いて人魚のお嬢さんを追い出そうと躍起になる海の魔女。
「これが何なのか、みんな知らなくて……」
人魚のお嬢さんは拾ったキラキラとした何かを海の魔女に見せました。
「──スノードームというものだよ。珍しいものを拾ったね」
スノードームを見た海の魔女は、目を細めて言った。
「──陸はどんなところなのかしら」
「──姫様。決して人間には近づいてはなりませぬ。海の魔女としての忠告じゃ」
海の魔女は人魚のお嬢さんに幾度となく忠告をする。
「悲劇を繰り返さないためにも、でしょ?」
「──泡となって消えたくはないじゃろ?」
「──そうね。ご忠告ありがとう」
知りたいことを聞き終えた人魚のお嬢さんは、海の魔女のもとを軽やかに去っていった。
──後に海の魔女はこう語った。
『──陸のクリスマスに参加してみたい』
と、人間になる薬をねだった姫は、後にも先にも彼女だけだったと。
──彼女の話をする度にこめかみを抑える海の魔女は、なんとも言えない複雑な表情をしていた。