【最新】【2025・4~6月】2025春アニメ おすすめ5選!

4月から始まった2025春アニメ(4~6月)いち早くおすすめアニメを紹介するぞ!そう思っている時期が僕にもありました。気付けばもう2025夏アニメが始まって1月以上たった。初回の印象を語るはずだったのに次のクールも終盤である。

そんなこんなで2クール制の番組を除いてすべての作品が一旦終わった今改めて考えてみると、2025春アニメは実に粒ぞろいのクールだった。
ジャンルはバラエティ豊かだし、オリジナルアニメの力作も多い。
僕は毎回ネットでネタバレを食らってしまうのだが、オリジナルはその可能性が低いのもいいところ。ちなみに2025春アニメではかろうじて某原作付きアニメの世界の秘密とキャラクターの秘密がバラされただけで済んだ。首の皮1枚繋がってないが仕方がない。ネタバレを食らっても良いものは良い。
というわけで今回は秀作の多い作品の中から、個人的に良かった5作品を順不同でピックアップした。

Summer Pockets

★★★★★

安心と信頼の伝統ギャルゲブランドKeyが送る、夏休みの物語――昔はこういうアニメがたくさんあったんだ

オタクは夏が好き
煌めく太陽にどこまでも広がる青空、そびえたつような入道雲に、光を受けて輝く海。道には木漏れ日がキラキラとこぼれ、アスファルトからは陽炎が立ち上る。そして響く蝉の声--あまりにも美しい。物語の舞台としてこれ以上のものはないと言える。

1話で「こどもの頃の夏休みは永遠みたいに思えた」という主人公のモノローグが流れるのだが、それを聞いた瞬間にこのアニメは信頼できると思った。思い出すと楽しくて、でもどこか切なくて泣きたくなるほどに眩しい。それが夏なのだ。リアル世界はエアコンモリモリで何とか命を保てるような酷暑で一歩たりとも外に出たくないが、ブラウン管(古)の中では涼やかな夏の青色が切ないほどに輝いている。

そんな夏の島の中で繰り広げられるちょっと不思議なボーイミーツガール、彼ら、そして世界には秘密が隠されていて……というストーリーラインも満点。
原作はギャルゲーブランドのKey。これまでAIRやCLANNAD、KANON、リトルバスターズ!など数々の名作を世に送り出してた超名門だ。
ギャルゲー原作のアニメは最近めっきり減ってしまったから久々にこういうアニメが見られてうれしい。自分の中で一番深夜アニメが面白かった時期を思い出させてくれる。


夏休み、主人公の鷹原羽依里が亡き祖母の遺品整理のために鳥白島を訪れるところから物語が始まる。やたらとノリのいい少年たちや、Key名物のちょっぴり変わった女の子たちとの出会い。
この現実離れ感が実にアニメしていていい。
水鉄砲で全力バトルを繰り広げたり、山に籠って卓球してる奴と勝負したり、灯台のてっぺんで歌ったり、お菓子の空き箱でベランダを創ったり、島の秘密を巡って宝探しをしたり、みんなで駄菓子屋に集まったり……アニメは大げさなくらいでちょうどいい。僕らも子供だった頃のように「永遠みたいに思えた夏休み」を追体験しているような気持ちになれる。

勿論ギャルゲーだけにどのキャラも魅力的。
Keyのアニメなので彼女たちは勿論中々のバックボーンを背負っており、エキセントリックな性格や、浮世離れした言動(配慮した表現)はその伏線であったりする。
ツッコミまちのボケみたいな振る舞いも実はそれがキャラクターの秘密の伏線である。
だからこそ、次第に明らかになっていくヒロイン達の本当の姿に胸を打たれるし、より心惹かれていくのだ。

ギャルゲーと言うシステムだからこそ表現できる、世界の秘密

複数のヒロインが存在するギャルゲーでは、各ヒロインとのルートを個別のエピソードとして完全に独立させて、別のヒロインとの話は「それはそれ」とするパターンと、クリアしたヒロインと別のヒロインのルートも遊ぶというプレイヤーの選択それ自体をストーリーに取り込むパターンがある。
後者の場合はすでに攻略したのと別のヒロインをプレイヤーが選ぶことを、繰り返す時間やいくつもの並行世界というギミックで表現するのだが、今作はそのパターンである。

主人公はヒロインたちと交流する中で不思議な出来事に遭遇するし、明らかに特別な立ち位置に立っているキャラクターや、視聴者しか把握していないはずの異なるヒロインとのルートを全て把握しているようなそぶりを見せるキャラクターもいる。

彼女たちとの交流を通して明らかになるはずの世界の秘密とは――
感動と笑いに、謎がちりばめられた物語。
こんなアニメをもっとやるべきである。

ウマ娘シンデレラグレイ

★★★★☆

リアルでもアプリでも伝説的な存在、オグリキャップが主人公の新シリーズ


ウマ娘、それは、別世界で生きた馬の魂や運命を受け継いだ少女達の物語。

リリース直後からプレイしているウマ娘ユーザーとしてはもちろん外すわけにはいかないのだが、最近ウマ娘界隈が非常に盛り上がっている。それも、日本ではなく海外で。
現在、steam(PC用のゲーム販売プラットフォーム)版ウマ娘が、欧米で大ヒットしているらしいのだ。各国のセールスランキングで上位を占めており、縁もゆかりもないはずの国のそのきっかけになったのが本作、ウマ娘シンデレラグレイである。

ウマ娘というと「はいはい、キャラ萌えゲー」と思われるかもしれないが、そんな単純なものでは断じてない。確かにトレーナー(ぼく)と担当ウマ娘がイチャイチャするシーンもあるが、ストーリーの本質は実にドラマティックだ。
ライバルとガチンコで競い合う(ウマ娘は時速60キロで走る)姿は青春スポ根だし、実際の競走馬がたどった、時に苦しく過酷な運命と向き合うのは劇的なドラマだ。
そもそもウマ娘というのは我々の世界で生きた馬の魂を受け継いだ、異なる世界で生きる少女たちのことなので擬人化というのがそもそも違うのであり安易なレッテル張りは誠に遺憾である。

本作の主人公は、史実ではあまりの人気で社会現象にまでなったオグリキャップ(の魂を受け継いだウマ娘の少女オグリキャップ)。
地方競馬出身で中央では全く無名ながら怪物のような強さと速さで一気に中央最強の存在へと駆け上がっていった彼女の軌跡を描いた物語だ。

レースとなると纏うオーラはまさに「怪物」そのものだが、普段は純粋無垢で、同期のウマ娘の明らかな嫌がらせにも全く気付かないくらいどこか天然。対戦相手を時に戦慄させるほど走りと、素朴で真っすぐな心は多くの人に愛され、やがて多くのライバルたちの闘争心に火をつけていく。
彼女を目指すもの、打ち倒そうと燃えるもの――史実同様、あまたの強者との名勝負が待っている。

ウマ娘が向き合う物、それは運命。

すでに上述したが、史実の競走馬がたどった運命と向き合う事がウマ娘の本質だ。レース結果だけではなく、怪我や不調さえも彼女たちに逃れがたい運命として突き付けられる。
だがたとえレース結果が変わらなくても、怪我をしたとしても、彼女たちは立ち上がることが出来る。
かつてその競走馬を愛した人たちが見たかった「その先」の風景。それをウマ娘は見せてくれる。

プレイヤーがトレーナーとしてかかわるアプリ版と違ってアニメではほとんどの場合レース結果は史実と同じだ。
実際に競馬を見ていた人はもちろん、馬名を調べればすぐに公式記録が分かるので、レースごとの勝敗を知っている人(知っちゃった人)は多い。
だがたとえ結果が出ていても―いや、出ているからこそ彼女たちの戦いは美しい。今回は1クールで終わったが、2期の製作も決まっている。競走馬オグリキャップやしのぎを削ったライバルたちがたどった運命と、ウマ娘たる彼女たちはどう向き合っていくのか。ドラマはまだまだ続いていく。

前橋ウィッチーズ

★★★★☆

イロモノのように見えて、繊細な心としっかり向き合う芯のある作品

中々のダークホースだった。見始めた時はここまで奥の深い作品だと思っていなかったのだが、2話のラストで思い切り引き付けられ、気づけばどっぷりハマっていたのがこの作品。
オリジナルアニメで、脚本はなんと朝ドラ「虎に翼」を担当したシナリオライターらしい。僕は朝早く起きられないので見ていないが、話題になったのは覚えている。

「前橋」とわざわざ銘打っているのだから、かわいらしいキャラクター達が前橋を盛り上げるために歌って踊るタイプの、市役所とズブズブなご当地アニメだとナメていたのだが蓋を開けて見ればそんな薄っぺらいものでは全然ない。基本的には軽妙でコミカルな掛け合いが面白く、決めるときは決めるがそれも押しつけがましくない――絶妙なバランス感覚で成り立っているアニメだった。

そこそこに楽しくはある日常を送る女子高生、赤城ユイナは、突然現れた謎の生物ケロッペから魔女見習いにスカウトされる。正式に魔女になればどんな願いでも叶えることができるというユイナは先にスカウトされていた4人の少女達と力を合わせて、魔女になる為の修行を始める――
というのが大枠のストーリー。

修行の内容は困っている人の願いを魔法を使って叶えることで、その報酬として魔法ポイント(マポ)を貯めることが出来る。依頼主の依頼を受けたことをきっかけに、彼女達は自身が抱えている悩みとも向き合っていく。
それは多かれ少なかれ誰しも抱える、自分の容姿や、こうでなくてはならないという社会への怒り、承認欲求や、依存にも似た愛情、家庭の事情といった普遍的な悩みである。

テンポも良く、ギャグも面白い。そして安易に答えを出さない、正しさを押し付けてこない――様々な受け手への心配りが心地よい

こうした作品の中には割と「正しい答え」を押し出したり、あまりにもメッセージを主張しすぎるものも多い中、型にはめた安易な結論をださないところがいい。
未熟な若者の思いを無条件で肯定しない一方で、未熟だと断罪したりしない。承認欲求や自己否定を煽るのは社会が悪いから、と安易な社会批判に走ることもないし、社会に適応することが善だとも主張しない。

例えば2,3話で焦点が当たったアズと言うキャラクター。彼女は魔法でごまかしているが、真実の自分はいわゆる「デブ」であるアズ。このエピソードで彼女が怒りを向けるのはアズを見下す相手だけではない。その体型になってしまう自分自身にも怒っている。

さらに、「太っていても愛嬌があるプラスサイズモデル」をやっている大人に対してもアズは怒る。
「ありのままで素敵」「気取らない美しさ」と持ち上げながら、本音の所では下に見ている大人たち。
それをわかっていても気づかないふりで自分を殺して愛嬌を振りまいているモデル。
そのどちらにもアズは拒否感を示す。
「全部無理」な態度は確かに我儘だ。ただ、そうやって行き場をなくした鬱屈はだれにでもあるもので、その思いを抱くこと自体を否定したりしない優しさがこの作品にはあった。

物語の魅せ方もうまく、会話のテンポが速くてモノローグが少ないから流れが滞らないし、言葉や動きに所々ギャグが入ってくるから画面が楽しい。なにより主人公のユイナがとにかくおしゃべりでマイペース、多少空気が重くなりそうなところで妙なツッコミを入れたりするのもあってほとんど湿っぽくならない。

NHKの朝ドラを担当したこともある脚本家の実力というものもしっかり感じられる傑作だった。
あえて言うと前橋要素が限りなく薄かったような気がするが、きっとそこにも意味があったのだろう。
田舎でも都会でもなく(偏見)東京のことは知っているし行けるけどちょっと遠い群馬県前橋市と、少女―完全な子供でも大人でもなく、未来について考えているようで考えられないあり方を重ねているのかもしれない(深読み)

日々は過ぎれど飯うまし

★★★★★ 7話★★★★★★★★★★

センスよし、雰囲気最高なゆったり日常アニメ。飯、おしゃれ、おでかけ……楽しい生活は心を豊かにする

なんだかんだ言っても日常系はやっぱり強い。
その中でもこれはちょっと日常系アニメ史上に残る良作かもしれない。
まこ、くれあ、しのん、つつじ、なな、5人全員が魅力的かつ彼女たちの空気感が最高に良いし、毎回めちゃくちゃうまそうな飯が出てくる。なにより男キャラが殆ど出てこないのがいいですね(過激派)

製作はP.A.Works。
PAと言えばオリジナルアニメで、特にお仕事モノを多く手掛けている。葛藤や失敗を通して成長を描く人間ドラマに強い。
PA自体がそういう価値観とか企業風土というわけではなくあくまで作劇の演出の都合上だと思うのだが、PAのアニメは結構な割合で情け容赦のないパワハラやカスハラ、ドロドロした人間関係が出てくる事で有名。
しかし今作は大丈夫。原案が「のんのんびより」の作者ということもあって、緩く楽しく、時にハートフルな心地よい作品に仕上がった。

「女子大生になったばかりの5人が繰り広げる日常系オリジナルアニメーション。おいしいもの大好き、みんなでいっぱい遊びたい、勉強もちょっぴり頑張って、大学生活を思いっきり楽しもう!」と公式に書いてある通りである。
PAのお仕事モノだと「ちょっぴり」の部分が「死ぬほど頑張って」に変わるだろうが、大学生だと緩くてオッケーな辺りに現代社会のひずみが垣間見えるが気にしないでおこう。

高尾山に登ったり初免許で遠出してみたり、しのんが家に隠して忘れた5千円をみんなで探したり服を買いに行ったりダイエットしたり、伊豆で合宿(最高)なんかもしちゃって……と実に豊かな日常を送っている。

そんなこの作品の肝は「飯」。毎回何かしらご飯を食べる。しかもほとんどの回で主人公の「まこ」とヒロイン「くれあ」が作るのだが、素材選びの段階からすでに楽しいし、ちゃんと調理過程も説明するので自炊する人には参考にもなるはず。
料理の作画にも一切の手抜きがないし、余計なことを言わずともキャラの声とか表情から十二分に美味しさが伝わってくる。

この作品は全体的にセンスが良く、演出面では「間」の作り方が非常にうまい。見てて全くノンストレス。力の入れどころ抜きどころの案配が絶妙なのだ。EDは書下ろしではなく、もともとあった楽曲を使用しているのだがそのチョイスが絶妙な上に、ED映像がまた最高にいいので是非見てもらいたい。

苗字呼び→名前呼び捨てシーンこそ百合の醍醐味

そんな感じでたくさん魅力のある作品のなかでじゃあ一番は何かといえばやっぱり主人公の河合まこと古館くれあのカップリング、「まこくれ」である。
百合カップルとして、近年名を馳せたリコリス・リコイルの千束とたきな二人の「ちさたき」にも勝るとも劣らない素晴らしいカップリング。

料理ができる2人ということもあり、早い段階から二人は仲良くなっていくのだが、主人公のまこは人見知りかつ引っ込み思案で距離を詰めるタイプではなく、くれあのことは名字呼び。人の機微に敏く、無理に踏み込まないくれあも河合さんと呼んでいる。あとの3人は距離感が近い子達なので二人とも全員を下の名前で呼んでいるのに、まことくれあが互いを呼ぶときだけ苗字なのだ。

そんな感じで視聴者も「まだ苗字呼びか……」とじわじわ燻りかけてきた頃合いで、満を持して投下されたのが「日々は過ぎれど飯うまし・第7話」の合宿回だった。ここまで6話かけてきて築き上げてきた仲間との、そしてくれあとの関係性、引っ込み思案だったまこの成長、何より旅行の夜という特別な時間……。くれあがついにまこの下の名前を呼ぶのだ。
百合作品の最初の呼び捨ては最高とハンムラビ法典にも書いてあるが、本作品のウルトラメインディッシュと呼ぶべき名シーン。ここを見ただけでもこの作品を追っかけた価値があった。
その後もちょくちょく「まこくれ」は供給されていく。満満満足、一杯満足。ご馳走様というにふさわしいアニメと言えよう。

最終回も、部室のみんなで年越し、という実に素敵なエピソードだった。ほとんどノンストレスで見ることのできる作品と言える。まあ、
主人公たちの活動をそれとなく見守ってくれている事務員さんが年越しの日=12月31日にも当たり前のように出勤しているところにいつものPAアニメの業(カルマ)が顔をのぞかせるわけだが……

アポカリプスホテル

★★★★★

毎回想像を超えてくるSFアニメ。一言で語りつくせない見所の多さが魅力

このアニメは本当に凄かった。月並みな表現になってしまったが、それほど多彩な魅力を持った作品で、簡単にまとめてしまうと何か本質とズレてしまう恐れがある。
ただ個人的には今季アニメという枠を超えて、SFの歴史の中に残る作品なのではと思っている。
「えー、アニメが許されるのは小学生までだよねー」とか言っちゃう、感性アポカリプス(世界の終わり)な人にもお勧めしたい作品である。


舞台は、霊長類にのみ感染する致死ウイルスによって人類文明が滅び、わずかな生き残りも宇宙へ逃げ去って長い年月が流れた地球。東京の銀座にあるホテル『銀河楼』では、ホテリエロボットのヤチヨと従業員ロボットたちが再び人類のお客様を迎える時をずっと待ち続け、変わらぬ日々を過ごしている。
長い間誰も訪れることが無く、それでも客を迎える準備が同じように繰り返されるある日、ついにホテルへ宿泊客がやってくる。だがそれは人類ではなく、地球外生命体すなわち宇宙人で――
というのが1話の導入。

真面目だがところどころオモシロ属性のヤチヨ、個性豊かなロボットたちに加え、物語の途中からはタヌキのような宇宙人その名もずばりタヌキ星人一家がホテルに居つき、最初のうちは部屋を荒らしたりそこら中におウ〇チをする(タヌキの習性らしい)などお客様とて許せぬようなカスハラっぷりをいかんなく発揮しながらもやがて銀河楼、そしてヤチヨにとってかけがえのない存在になっていく。

果たして地球人は帰ってくるのか、それとももう完全に滅びてしまったのか。だとしたら今後ヤチヨはどうするのか――そんなストーリーラインを引きつつ、ハチャメチャな客や昭和や海外の名作映画のパロディ、助手になったタヌキ星人のポン子やヤチヨ自身が巻き起こすトラブルなど、毎回趣向の違う賑やかなコメディが繰り広げられる。いくつかのエピソードなんかは制作陣の頭のねじがぶっ飛んでいるかのようなトチ狂いっぷりで実に面白い。

あえて描かないことでより強く伝わる、人間の不在、膨大な時間の経過

そしてそんな風に「賑やか、面白い」エピソードを描くからこそ逆に浮かび上がってくるのは「人類のいない静寂」「人間とはスケールの違う時間の流れ」である。

年を取らず半永久的に存在し続けるヤチヨをはじめとするロボットたちと、数十年たっても全く姿が変わらず、数百年経ってようやく少し大人になるタヌキ星人を中心として物語が進むため、一見すると前回の話からほとんど時間が経っていないように思える。だが1話すすむごとにウイスキーが完成していたり温泉が掘り当てられていたりと、数十年以上の時間が平気で経っていたりする。

「時間の経過」を意図的に感じさせない、触れたとしてもさらりと当たり前のように流すことで、逆説的に途方もない時間の流れが浮かび上がってくる。建物の中は(ある程度)普通のホテルとして描きながらも宇宙人の来訪を描くことで人類の滅んだ世界であることを感じさせるように、「描かないこと」で強く感じさせる。
このあたりの描写が実に巧みで、そうして描写されなかったものが一気に描かれた11話は圧巻のエピソードだった。
大きくブームになったわけではないが、作り手たちの本気を感じさせる作品と言える。

作品が多い!

2025春アニメはかなりの豊作だったから他にも良作がたくさんあった。
令和ロマンは「ガンダムとエヴァどっちも見る人間はいない」と言った通りエヴァ派の僕は見ていないのだが、このクールで最も話題を集めたのはガンダムジークアクスに決まっているし、薬屋のひとりごとやヒロアカの外伝なども含めて僕は見ていないが超メジャー級の作品がいくつもあった。


僕も視聴した中では、ここには紹介していないが「忍者と殺し屋の二人暮らし」とか「ロックは淑女のたしなみでして」あたりは話題にもなったし演出も尖っていて面白かった。個人的にはストーリー面で「ある魔女が死ぬまで」が好みだったし、
「片田舎のおっさん、剣聖になるもやや地味ながら、戦闘シーンの描写は世間的にも好評だった。
ハーレムモノでありキャラクター全員が魅力的だった「紫雲寺家の子供たち」は海外からの人気も高かったし、「ウィッチウォッチ」も安定して面白かったし――とざっと思いつくだけでもこれだけの作品が浮かんでくる。毎クール多くの作品が放送されるのでそのクール一つ追うのも大変だが、機会があれば、2025春アニメもチェックしてみて損はない。

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読書、アニメ、映画鑑賞、プロ野球観戦が好きな受動系オタクでインドア派キャラクター(インキャ)です。概念としての夏が好き。世界が美しく見えるから。でも暑いし受動系なので行動にうつせずに終わっていつも悔やんでます。

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