私が好きな歌手

スコットランドの現在の女性

Scottish Singerのトップランナー

(スコティッシュ・シンガー)

Julie Fowlis(ジュリー・ファウリス

ライナス

    皆さんこんにちは。ライナスです。今回は私が好きなスコットランドの女性シンガーであるJulie Fowlis(ジュリー・ファウリス)さんについてご紹介しようと思います。どうぞ最後までご覧ください。

生い立ちと家庭環境

    Julie Fowlisさんは1979年6月20日に、スコットランドのアウター・ヘブリディーズ諸島のノース・ウイスト島に生まれました。ご両親は共にスコットランド人ですが、父親は本土の方で英語のみ、一方母親は島の出身でゲール語と英語の両方を話せる方で、家庭ではゲール語と英語が飛び交う家庭だったようです。しかし、幼いJulieさんにはゲール語は少々難しかったようで、「幼い頃の私はあまりゲール語が流暢ではなかった」(本人談)そうです。小学校は全校生徒が13人だったそうで、校長先生がゲール語の唄や音楽を生徒に教える環境で育ちました。Julieさんは13歳までウイスト島ですごし、やがて父親の仕事の都合で、本土のロスシャーへ引っ越しました。

・アウター・ヘブリディーズ諸島 https://en.wikipedia.org/wiki/Outer_Hebrides

・ノース・ウイスト島 https://en.wikipedia.org/wiki/North_Uist

・ロスシャー州 https://en.wikipedia.org/wiki/Ross-shire

・ノース・ウイスト島での幼少期について https://www.scottishfield.co.uk/music/julie-fowlis-the-hebridean-queen-of-music/

・幼少期についてインタビューに答えるJulie Fowlis

Julie Fowlis on her musical journey

「ゲール語が廃れつつある」

大学時代の実感を胸に抱き

ゲール語学校で再教育を行う

   Julieさんはその後、ディングフォール・アカデミーを経て、首都のグラスゴーにあるストラスクライド大学に入学します。そこで幼少期から習っていたイングリッシュホルンとオーボエ、バグパイプなどの様々な管楽器の演奏を学習しました。同時に応用音楽の学士号を取得して2000年に卒業しました。しかし、「周囲の人と話をすると、ゲール語で会話をしている人がとても少なく、『ゲール語が廃れつつある言語になっているのではないか』と思った」(本人談)そうで、卒業後にゲール語学校のサバル・モア・オステイグに入学し、スコットランド・ゲール語とスコットランドの伝統音楽を本格的に学習しました。卒業後にはゲール語の文化団体である「フェイス・ロイス」で音楽開発担当官を務めています。

・ストラスクライド大学 https://en.wikipedia.org/wiki/University_of_Strathclyde

・サバル・モア・オステイグ  https://en.wikipedia.org/wiki/Sabhal_M%C3%B2r_Ostaig

・スコットランド・ゲール語 スコットランド・ゲール語 – Wikipedia

・バグパイプを演奏するJulie Fowlis

Julie Fowlis – “Julie plays Bagpipes” Cropredy 2008

・スコットランド・ゲール語についてインタビューに答えるJulie Fowlis

Julie Fowlis Interview on Scottish Gaelic Folk & Pixar Brave | Touch the Sky, Into the Open Air

バンド活動を経て、ソロ活動へ

    Julieさんはサバル・モア・オステイグの在学中に、スコットランド王立音楽院の出身の女性メンバーで結成された音楽バンド「Dòhas」(ドーハス)のメンバーに加入し、本格的な歌手の道をスタートさせました。その活動と並行してソロ活動も行い始め、2005年にファーストアルバム「Mar a Tha Mo Chridhe(スコットランド・ゲール語で、『我が心のままに』という意味)をリリースしました。実はJulieさんは元々プロの歌手になるつもりは無く、音楽とは別の仕事をスタートさせていたのですが、「2002年に母が『ギラン・バレー症候群』を発症して、その看病のために仕事を退職し、専業歌手になった」(本人談)と語っています。このアルバムは発売当初からスコットランドの音楽チャートで上位を獲得し、本格的にソロ活動をしていくことになります。

・ギラン・バレー症候群 ギラン・バレー症候群 – Wikipedia

・母の病気とバンド活動について

Julie Fowlis: 10 things that changed my life | The National

・1stアルバム「Mar a Tha Mo Chridhe」から筆者のオススメの曲

  「 òganaich uir a rinn m’ fhàgail」

Julie Fowlis with Donal Lunny and Bruce Molsky

  「biodh an deoch seo ‘n làimh mo rùin」

Julie Fowlis – Biodh an Deoch Seo ‘n Làimh Mo Rùin (HQ)

(因みにフィドルを演奏している女性はJenna Reid⦅ジェナ・リード⦆さんと言って、Julie FowlisさんとDòhasで同じバンドメンバーでした。https://jennareidmusic.com/

セカンドアルバムでスコットランドだけではなく、英国、欧州、米国に名の知られたアーティストになる

   Julieさんは2007年にセカンドアルバム「Cuilidh」をリリースしました。このアルバムは主に Julieさんの故郷のノース・ウイスト島で歌い継がれた曲を主に収録した曲でしたが、スコットランドのみならず、英国全土、欧州各国、米国でもヒットチャートを席巻し、Julie Fowlisの名前が世界各国に知られました。このアルバムでは1stアルバムから伴奏を行ったアイルランドの音楽バンド「Danú」(ダ・ヌー)のギタリストのEamon Doorley(エイモン・ドーリー)さんがほぼ全曲にわたって伴奏を務め、さらにコーラスではスコットランドで著名な歌手であるKathleen MacInnes(キャスリーン・マッキネス)をはじめとした多くの音楽家が参加しており、ゲール語歌手として国内でも一目置かれる存在となりました。2008年の10月には夫となったEamon Doorleyさん、長年の親友であるMuireann Nic Amhlaoibh(ムイラン・ニック・アムラオイブ)さん、Ross Martin(ロス・マーティン)さんとのコラボで「Dual」(デュアル)というアルバムをリリースし、評価をさらに高めていきました。また、同年にビートルズの名曲「Blackbird」をゲール語でカバーして注目をさらに集めました。

・「Cuilidh」から筆者おすすめの一曲

     「Hug Air a’ Bhonaid Mhoir」

       Julie Fowlis – Hug Air a’ Bhonaid Mhoir (Scottish Gaelic)

・ムイラン・ニック・アムラオイブ https://en.wikipedia.org/wiki/Muireann_Nic_Amhlaoibh

・「Dual」から筆者おすすめの一曲

「Da Bhfaigheann Mo Rogha De Thriur Acu / Dhannsamaid Le Ailean / Cairistion’ Nigh’n Eoghainn」

Julie Fowlis & Muireann Nic Amhlaoibh – Dá bhFaighfinn Mo Rogha de Thriúr Acu | Geantraí 2009 | TG4

(なお、Muireannさんがアイルランド語で歌っているのに対し、Julieさんはスコットランド・ゲール語で歌っています。⦅MuireannさんのパートではJulieさんもアイルランド語で歌っています。⦆)

[Tha ‘M Buntata Mor / An Bairille / Boc Liath Nan Gobhar」

Julie Fowlis and Muireann Nic Amhlaoibh

・The Beatles Blackbird

The Beatles – Blackbird 和訳

・Julie Fowlis Blackbird

Julie Fowlis Lon-dubh / Blackbird

サードアルバムで

フォークシンガーとスコットランドの

Waulking Song Singer(労働歌歌手)としての地位を確立する

  Julieさんは2007年3月、サードアルバム「Uam」(スコットランド・ゲール語で私から)をリリースしました。このアルバムは主にスコットランドのWaulking Song(労働歌)を集めたもので、様々な協力者を得ながら収録していきました。このアルバムのリリースで Julieさんはこれまで築いてきたフォークシンガーの地位に加え、スコットランドのWaulking Song Singer(労働歌歌手)の地位も得ることに成功します。

・サードアルバムの紹介

A short film about the Julie Fowlis album “Uam”

・Waulking Song(労働歌)について

A Short Film About Julie Fowlis

・「Uam」から筆者おすすめの一曲

「Bothan Àirigh am Bràigh Raithneach」

Julie Fowlis – Bothan Àirigh am Bràigh Raithneach

「メリダとおそろしの森」の

楽曲提供で国際的な歌手の地位を

獲得する

  Julieさんは2012年にディズニー・ピクサー映画「メリダとおそろしの森」で、「 Touch the Sky」「Into the Open Air 」という楽曲を提供しました。

この映画は世界的にヒットするとともに、テーマ曲として使われた「 Touch the Sky」も世界的にヒットし、  Julieさんは国際的な歌手としての地位を獲得しました。

・「メリダとおそろしの森」 Brave (2012 film) – Wikipedia

・「メリダとおそろしの森」の中で使われた劇中歌「 Touch the Sky」

Brave – Touch The Sky HD

・ライブでの「 Touch the Sky」

Julie Fowlis sings Touch The Sky from the Brave movie soundtrack (The Holy Moly Sessions)

・「Into the Open Air 」

Brave-into the open air (Clip) HD

現在は歌手だけでなく、テレビ、ラジオプレゼンターやゲームの楽曲提供、様々なアーティストとのコラボ、また二児の母としてもマルチに活動中!SNSも積極的に更新中で、今後の活動から目が離せない!

  Julieさんは現在、音楽活動だけでなく、スコットランドの「国家ゲール語大使」としてスコットランド・ゲール語の普及や啓発活動を行ったり、Xbox、PS5のゲーム「アサシン・クリード」の挿入歌の楽曲を提供したり、様々な活動を行っています。また、長年の友人であるMuireann Nic Amhlaoibhさんとの共演でテレビやラジオ番組のリポーターをしたり、最近ではアイルランドのフィドル奏者のZoe Conway(ゾーイ・コンウェイ)さんとのコラボやアルバム制作を行ったりしています。それだけではなく、二児の母親としても精力的に活動しています。SNS投稿も精力的に行っていますので、気になった方は参考リンクからご覧になってください。

・ゾーイ・コンウェイ Zoë Conway – Wikipedia

・Zo”e Conwayさんとのコラボ

Julie Fowlis, Zoë Conway, Éamon Doorley and John McIntyre Jan 2020

・ゲール語で絵本の朗読を行うJulie Fowlis

Julie Fowlis Reads The Promise in Scottish Gaelic

・「アサシン・クリード」の楽曲制作風景

Assassin’s Creed Valhalla: Behind the Music with Julie Fowlis | #UbiForward | Ubisoft [NA]

・「アサシン・クリード」からの挿入歌

Ciara Sings Flann For Eirinn (Song 🎵) | Wrath of the Druids Soundtrack | Assassin’s Creed Valhalla

Canaid Lia Fáil (feat. Julie Fowlis)

・Muireann Nic Amhlaoibhさんとの共演番組「Port」から

(因みにこの番組はアイルランドの公共放送TG4とスコットランドの公共放送BBC Albaの両国で放送されています。)

Celtic music on the Continent – Brittany

Celtic music on the Continent – Galicia

・お子さんの為に唄を歌うJulie Fowlis

‘My Love is on the High Seas’ | Julie Fowlis | Sound Tracks Quick Hits | PBS

・スコットランドの女性シンガー、ミュージシャンの方々とのコラボ

Puirt – Hebridean Ensemble

・参考リンク

・公式サイト  https://www.juliefowlis.com/

・Facebook  facebook.com/juliefowlis

・instagram  Julie Fowlis (@juliefowlis) • Instagram photos and videos

・threads https://www.threads.com/@juliefowlis?xmt=AQF0V7ZXSUNXohg09gGB3uL5cWP1TyjW5A3    Ocu-VFjpJnBI

・Youtube  https://www.youtube.com/user/juliefowlismusic

・X  https://x.com/juliefowlis

・Tiktok  https://www.tiktok.com/@juliefowlisofficial

まとめ

  今回はスコットランド人女性歌手のJulie Fowlisさんをご紹介しました。日本では殆ど知られていないですが、スコットランドだけでなく、イギリス、ヨーロッパ、アメリカでは名の知れた歌手なので、このコラムを見てくださっている皆さんに一度唄声をお聴きになって欲しいと思い、本稿を書きました。このような形で、スコットランドの歌手の方をご紹介していきたいと思います。

  それではまた次回お会いしましょう!ライナスでした!

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ライナス

ライナスと申します。読書や日本の歴史、アイルランドやスコットランドの音楽が好きなので、皆様に紹介して共有できればと思っています。

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