先日気になっていた本を、友人からの誕生日プレゼントでもらいました。
新鋭短歌の、「老人ホームで死ぬほどモテたい」という本です。
友人と一緒に本屋に行った際、私が試し読みをして買うか迷っていたことを覚えてくれていて、プレゼントしてくれました。

感想
短歌集を読んだのは初めてでしたが、とても読みやすかったです。詩の中にYOUTUBEやヒガシマルうどんスープ、ファブリーズなど親しみやすい言葉や商品名がたくさん出てきて、短歌ってこんな自由なんだと驚きました。感覚としては、X(元ツイッター)を読んでいる感じに近く、Xでいろんな人の考えていることを見るのが好きな私としてはとても興味深かったです。
ただただ詩が並んでいるだけではなく、幼少期の頃の思い出とか、学生時代とか、上京してからとか、人生のフェーズごとにざっくり分かれており、その時々の出来事や思ったことが書かれていて、全体的に人生の流れがあったのも魅力的でした。
また、大きさとしては四六判で1ページあたりに2から3つの詩が載っており、余白を大切にしていてすごく読みやすかったです。普段は文庫判のポケットサイズの本を読んでいるので大きく感じたし、分厚めの紙にぼつぼつと書かれている歌は絵本を読んでいる感覚に近い気がしました。読みやすすぎて20分で半分読んでしまって、一日で全部読んでしまうのは勿体なかったので、半分は読みたいのを我慢して2日かけて読みました。
作者さんの幼少期は過酷で、夫婦喧嘩だとか離婚だとか、お母さんの彼氏は刺青があったりだとか、海外に行ったお父さんの再婚相手だとか、母と姉と暮らしているけど違和感があるだとか、なんだか穏やかじゃない感じで、でもそんな中で上坂さんはキラキラした感性を持って自分らしく生きていて、上京して一人で生活している姿が目に浮かびました。そんなことを想像しながら読んでいると、悲しくはないけども泣いてしまいました。小説と違い書かれているのは短歌の連続で、1つの短歌から得られる情報は少なめですが、だからこそ余白でいろいろ想像ができて、つらい過去があった人に刺さる本なんじゃないかと思います。
あとがきも「ひろゆき」とか「魚民」とかでてきて面白かったです。きっと面白い文章を書くのが得意な人なんだろうなと思ったので、もし上坂さんのエッセイ本が出たら読んでみたいです。