睡眠の環境について
良い睡眠をとるためには、生活習慣、寝室環境など様々な要素を整えることが大切です。
日中にできるだけ日光を浴びる
起床後に朝日の強い光を浴びることで体内時計はリセットされます。寝る2時間前には照明を暗くしたり、スマホを見ないようにするなどの工夫が必要です。
温度の環境づくり
ヒトの深部体温は日中の覚醒時に上昇し、夜間の睡眠には低下します。入浴のタイミングの調整などを行うことが重要です。睡眠の質を高めるためには就寝の1〜2時間前に、38〜40℃程度のぬるめのお湯に10〜15分程度つかるのが良いと言われています。
また、室温が高い状態である時、睡眠時間が短縮し睡眠の効率が低下すると言われているので、夏の寝室はエアコンを用いるなどして、室温を涼しく維持することが重要だと考えられています。
運動習慣について
睡眠は日中の身体活動などで消耗した体力などの回復の役割を担うことから、日中の身体活動が眠りの量や質に影響します。また運動習慣がない人は、睡眠休養感が低いことがわかっています。
ウォーキングやジョギングのような有酸素運動は、寝つきを良くし、深い睡眠や睡眠時間を増加させ、睡眠休養感も高めると報告されています。筋力トレーニングも睡眠改善に効果があると言われています。
運動のタイミング
日中に運動を行うことで、身体活動量を確保しやすくなるとともに、寝る直前まで興奮状態が続くことを避けることができます。夕方や夜の時間帯の運動でも睡眠改善に有効であることが報告されています。運動の頻度は週1よりも複数回行うことが効果的です。
就寝前にリラックス
スムーズに入眠するためにはリラックスし、脳の興奮を鎮めることが大切です。そのためには、就寝に就く前に少なくとも1時間は家事や仕事、勉強に追われずリラックスする時間を確保することが重要です。また、睡眠時間や就寝時刻に過剰にこだわり無理に眠ろうとすると、脳の興奮がむしろ高まり、寝つきを悪化させることがあります。寝付けないときは、一旦寝床を離れ、寝床以外の静かで暗めの安心感が得られる場所で、眠気が訪れるまでゆっくり過ごし、眠気が訪れてから寝床に戻ることが大切です。
就寝前にリラックスを得るための方法として、自律訓練法やイメージトレーニング法だけでなく一般的な瞑想法、静かに行うヨガ、腹式呼吸、筋弛緩法、音楽やアロマなども、眠りの質を高める可能性が示されています。一人ひとりに最適なリラクゼーション法を見つけることが大切です。
嗜好品について
睡眠に影響を及ぼす代表的な嗜好品は①カフェイン、②アルコール、③ニコチンです。
カフェインは覚醒作用があるため、寝つきの悪化や中途覚醒の増加、眠りの質を低下させる可能性があります。カフェインの代謝には個人差があり、血中半減期も3〜7時間とばらつきがあります。
良質な睡眠の確保の観点からは、カフェインの摂取総量を減らすとともに、夕方以降はカフェイン含有品、飲料の摂取は控えることが推奨されます。
アルコールは一時的には寝つきを促進し、睡眠前半では深い睡眠を増加させます。しかし、睡眠後半の眠りの質は顕著に悪化し、飲酒量が増加するにつれて中途覚醒回数が増加することが報告されています。
たばこに含まれるニコチンは覚醒作用を有しており、睡眠前の喫煙は、入眠潜時の延長、中途覚醒の増加、睡眠効率の低下などの現象をもたらします。またニコチンの血中半減期は約2時間であるため、夕方の喫煙であっても、眠る前までその作用は残ることがあります。
昼寝
昼寝は日中の眠気を軽減するためには有効ですが、短時間に留めないと夜間の睡眠時間を短縮させ逆効果になる可能性があります。昼寝は30分以内にするように心掛けるのがベストです。

睡眠の質を上げる方法はたくさんあります。
質の良い睡眠が取れるように少しずつ意識してみてはいかがでしょうか。
あなたの毎日がより健やかになりますように。