昔は大好きだった議論、相手のミスを躊躇なく指摘すること互いに意見を交わし切磋琢磨すること
今は面倒だ、気だるげな空気に呑まれる。
多分元気じゃないんだ。
長い橋を架けることに疲れてしまった
どんなに主張したって私は結局医者の手中から逃れられない
あんなにも願った
早く大人になりたかった
なのに誰かの支配から逃れられない自分がここにまだ存在する
精神薬は麻薬と一緒だ脳の仕組みを教えてくれた生物の先生が言っていたことを思い出す
すべてを壊してしまいたい
町中に油をまいて火を付けたら一つの町なんかあっという間に消せる
私という宇宙を壊したのだから
町一つ壊れたところでなんてことないだろう?
さちは震える声で笑いながら泣いた
この感情が何なのかももう分からなかった
風は吹く。
この止まった場所にさえ、
雲は移ろう。この止まった場所にさえ、
もう戻ることのないあの人の面影を何度思い返しても、
時は流れる。止まってはくれないのだ。
荒廃する家屋を背に顔を上げ雨が喉を伝い入るのを許し、
声を押し殺して泣いた。
何度繰り返せばいい
何度、離れ、
散り散りになればいいのか。
何度君の面影を、何度君の声を何度あの眼差しを
指し示した、あの指筋を思い返せば天の許しは訪れるのか。
何度追いかけても、無様に転げ落ちる夢を見る。
生まれ変わりの物語が模倣され、増えていく、
細胞分裂のように増え続ける
現実を塗りつぶしたくて
ヒーローもヒロインも街にあふれた。
もう特別じゃない。
居るだけでいい。存在するだけで。
福祉の世界で囁かれるこの言葉が熱を帯びてきた。
次期にAIがほとんどの仕事をこなすようになって、人間はいるだけでいいと言われる存在になるだろう。
カミサマは退屈して人間を一掃してしまうかも。
カミサマのテレビ電波人生ゲームだもの。この世は。
