友人とともに、宮城県白石市を訪れた。白石は風情ある小さな城下町であり、かつて片倉小十郎景綱が治めた地として知られている。僕の祖先は石巻にいた平家の落人であり、戦で伊達政宗に追われた者を匿っていたという話が伝わっている。しかしその家も、東日本大震災の津波ですべて流されてしまった。そんな思いも胸に、今回は白石の歴史と現在を歩く旅となった。
旅の始まりは「小十郎プラザ」から。スタッフの方々がとても親切で、白石観光の第一歩として温かく迎え入れてくれた。その後、「ドルフィン」でひと休みし、「神明社」へと足を運んだ。ここでは大吉のおみくじを引き当てた。もっとも、大吉の出やすい神社かもしれないが、それでも嬉しいものである。物置の奥にあったパネルがひっそりと鎮座していたのも、発見の喜びがあった。
公園の緑が目にまぶしい。紫陽花の美しい季節であった。道すがら、ムラサキや青白の花が咲き誇っており、暑さの中にも静けさがあった。青系ばかり咲いていたので土壌は酸性なのだろう。白石城へ向かう道は想像以上に長く、かなり歩かされた。本丸に近づくにつれ景色も変わっていく。天守に入る階段は石でできていた。城の中の階段もそれなりに急で、息が上がる。しかし、入場料を払って本丸内部に入ると、きれいに整備されたパネル展示が出迎えてくれた。全部で20枚くらいあった。写真を撮る前に、しばらくは何も考えず、ぼうっとその場に立ち尽くしてしまった。時間が止まったような感覚だった。
「甘味堂くさかもちや」に立ち寄った後は、「壽丸屋敷」へ。ここはもともと古い武家屋敷を再活用したもので、紙細工の展示が非常に丁寧で見応えがあった。四国めたんのパネルや置かれており、現代と歴史の融合を感じる場所であった。運営の方は「もっと支援があればありがたい」と語っていたのが印象的だった。
その後も、スタンプラリーにも参加。全22か所のうち、実際に訪れたのは5か所ほどだったが、定休日の店舗などで配慮を受け、スタンプを10個ほど集めることができた。ずんだもんたちのパネルには思わず見入ってしまった。
町中には小さな川が流れ、屋根から水がしとしとと滴り落ちる風景も見られた。蝉しぐれが響く中、小川沿いを歩いていると、心がすっと軽くなる。癒されるとは、こういう時間を言うのだろう。ふと、「来世はセミになりたい」とさえ思った。
ナガハシさんのほぼ隣にあったやなぎやというシュークリーム屋さんでシューを買った。めちゃ安かった。
旅の締めくくりには、ヨークベニマルで昔より小さくなった笹かまを購入。帰宅後に食べたが、味は昔のままでほっとした。そして「ナガハシ」では母がブレスレットを、僕はスマホ用のシールを購入。こうした小さな買い物もまた、旅の記憶として残っていく。白石市はコンパクトな町であるが、その中には歴史、文化、自然、そして現代の萌え文化までがぎゅっと詰まっている。片倉小十郎も、伊達政宗とともにこの町を空から見守り、微笑んでいるような気がした。
白石の旅は、歴史と現在、心の癒やしと小さな発見が満ち、忘れがたい一日となった。