金木犀に化ける

マンションを降りようとすると

甘い香りが広がった

ムラサキツユクサか カモミールの 小さな花の匂いがした

いや金木犀か

季節はずれの金木犀のにおいがマンションの階段の上に広がる

 やがて四季はめぐり

 繊細な五月に置いてきた 思い出は

ただ当たり前の今という永遠をめぐり

可能な現実となり現れる

最近眠くて猫を見た

夢で飼い猫に噛まれた

足元の花を踏むと昔の思い出がカサカサと音を立てる

サヨナラカモミール

未だ夢から覚めないで

空梅雨は開けただろうか

いろいろ風流な草花の名前を出したが、

突き詰めるとこの甘ったるいリンゴのにおいは服の柔軟剤だ。

この家の思い出がしみだしてきたのかもしれない。

湿度70パーセントの春の陰鬱な空気に誘われて、にじり寄ってきたのかもしれない。

ジトっとした空気もさわやかだ。これ以上ないくらい。

  • 0
  • 0
  • 0

青湖

ずんだもんラブです。季節や花など、自分が気になったことをエッセイに書いたりしています。今年はもう一度絵をたくさん描きいてたいです。

作者のページを見る

寄付について

「novalue」は、‟一人ひとりが自分らしく働ける社会”の実現を目指す、
就労継続支援B型事業所manabyCREATORSが運営するWebメディアです。

当メディアの運営は、活動に賛同してくださる寄付者様の協賛によって成り立っており、
広告記事の掲載先をお探しの企業様や寄付者様を随時、募集しております。

寄付についてのご案内