チョコが沈んでしまった。

 昼。庭に群生しているミントを採ってチョコミントアイスを作る。手順はこうだ。鍋に牛乳を入れて沸騰させたら火から下ろし、生のミントを加え、粗熱がとれ次第、冷蔵庫で冷やしておく。その間、ボウルに砂糖と卵を入れ、よく混ぜる。また別のボウルを用意し、生クリームをツノが立つまでかき混ぜる。そして、青の食用色素を少しだけ入れる。冷蔵庫からミントが入った牛乳を取り出す。ミントを捨て、混ぜた卵と砂糖、生クリームを混ぜ(このとき卵の黄身と青の食用色素が合わさって液が緑色になる)、家族分の容器にわけて冷凍庫に入れる。一時間程度経ってから砕いたチョコレートを混ぜ、冷凍庫へ戻す。夜にはしっかり固まった。

 ミントの種を蒔いたのは妹だ。蒔いてすぐに、敷地の一部がミント畑となり、以後、夏には庭や畑のあちこちで勢いよく繁茂し、制御が難しいほど広がりを見せるようになった。

。雨が降ると草いきれに混じってミントの香りも漂うのでそれは良かったが、今春、一人暮らしをはじめるにあたって妹が刈り取って出て行ったのにまた生えてきた。今はとにかく食べて飲んで消費している。チョコミントアイスもその内の一つだ。

 味は悪くなかったが、重さで底にチョコが沈んでしまった。そこが少し気になった。皿の中をかき混ぜて食べればそれで済む話なのだけれども、自作に関してではなく、チョコが分離せず、かつ偏りのない状態(しかもサイズが割と大きめのも上手く混ざってる)を提供できている市販のアイスって二段階の手間がかかっているんだな、と。素人なので単純な想像でしかないんですが、私が完成、とした底に沈んだチョコミントアイスをまず工場で作ったとして、そこからさらに攪拌させ、また完全に固めて容器に入れる必要がある。ミントやカカオ選びから始まる、売り物にするための工夫やそれにかかる労力がもっと追加されていると思うと妙に安く感じてくる。買ってもないのに企業努力を痛感する一日でした。

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行谷いさご

たまに講座を受けながら十年ぐらいエッセイを書き続けています。くどい言い回しが表れたり、感情を挟む以上に説明文が長かったり、その辺を何度も読み返して反省を繰り返しながら一作品、また一作品……と、丁寧に、少しずつ作り上げていきたいです。

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